高齢者賃貸における「孤独死」対策
1、高齢者同士同居しなくても「孤独死対策」は実現できる
下の記事は、「孤独死対策」のために、4人で暮らせる物件を探し、大家と管理会社に4人での入居について事前に相談したうえで契約したものです。
非常に素晴らしい発想ですが、いくらプライバシーに配慮しても、同じ家屋に同居している以上、何かしらの問題が発生する事は避けられません。
そこで、一つの方法として
①空き室率の高い、古いアパートを「高齢者賃貸専門」とし、バリアフリー完備の建物にする。
②賃借人に
㋐「孤独死保険」の加入
㋑警備会社が提供する「見守りサービス+緊急駆け付けサービス」
加入を義務付ける。
㋐㋑とも月数千円。費用は「管理費」に含ませ、かつ、家賃自体をその分安くする事で(元々空き室率が高いですし)、全体の家賃を高くすることなく、毎月の支払を楽にする。
③家主さんはアパートの近くに住んでいることが望ましい。
警備会社が提供する「見守りサービス+緊急駆け付けサービス」へ加入していれば、家主自身が毎日住人の安否を確認する必要がなく、過度な負担にならない。
※参考:「Yahoo NEWS「友人の孤独死で「明日は我が身」と震える72歳独身男性が、なかよし3人と共同生活を開始」
2、「孤独死対策」として警備会社が選ばれる理由
「孤独死対策」として警備会社が選ばれる理由として、以下の事項があります。
(1)夜間・休日でも確実に人が動く
警備会社は深夜・早朝の体調急変や転倒にも対応。心筋梗塞や脳梗塞などで、入居者が「緊急ボタン」を押せれば、10〜20分程度で現地に駆け付け、救急車の手配まで行ってくれます。
(2)「センサー感知」で倒れても自動通報
孤独死対策で最も重要なのが「本人がボタンを押せない状態」への備えです。
トイレなど、通常使う場所に設置したセンサーが「12時間以上動きがない」などの異常を検知すると、自動で警備会社に通報がいき、ガードマンが駆け付けます。
(3)鍵を預かってくれる(即時解錠)
事前に家の鍵を警備会社に預けることになるため、夜間に本人の応答がなくても、ドアを壊さずに解錠して室内の確認や救急隊の誘導を行えます。
3、家主さんの緩やかな目での監視
上の警備会社と「見守り契約+緊急駆け付けサービス契約」を締結したとしても、「心筋梗塞、脳梗塞などで倒れ、ボタンも押せず、センサーの検知(半日〜1日後)を待つ時間」がタイムラグとなります。
プライバシーの問題があるので、たとえ家主さんがアパートの近隣に住んでいたとしても、毎日全戸を訪問する必要はありません。
「ゴミ出しに出てこない」
「日中なのにカーテンが閉まったまま」
などといった、近隣だからこそ気づく「日常の異変」を察知するだけで十分です。
センサーのタイムラグを、家主の「緩やかな目」が補完する形で「孤独死対策」を完全に近いものにします。
4、高齢者との賃貸借契約締結の注意点:入居審査
◎入居審査
①できれば、緊急連絡先・連帯保証人を3親等以内の親族(子、兄弟姉妹、甥・姪など)2名以上提出してもらいます。
親族がいない場合、「高齢者向けの身元保証・死後事務委任サービス」を提供している会社への加入を必須にします。
②持病・かかりつけ医・服薬状況の開示義務
救急隊員や警備会社が駆けつけた際、救急車内で即座に情報共有できるようにするため、賃貸借契約申込書に
㋐持病:脳血管疾患、心疾患、糖尿病などの有無
㋑かかりつけの医療機関名・電話番号
㋒緊急時の搬送希望先
などの記入欄を設けておきます。
③日常生活動作(ADL)のセルフチェック
賃貸借契約締結前に「自力で歩行・入浴・トイレができるか(自立しているか)」などを確認します。
確認することにより、将来要介護度が進行。寝たきりなど、常時介護が必要な状態になった場合、このアパートの「見守り」の限界を超えるため、介護施設への転居を検討してもらう目安になります。
5、事故物件化(心理的瑕疵)を防ぐには
「孤独死=すべて事故物件になる」とは限りません。
国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」では、「自然死や不慮の事故(ヒートショックなど)であり、かつ早期に発見された場合、原則として次の入居者への告知義務はない(事故物件扱いにしなくてよい)」と定められています。
警備会社と「見守り契約+緊急サービス契約」を締結した趣旨を賃貸借契約にも活かすため、例えば、賃貸借契約に以下の条項を盛り込みます。
第〇〇条(緊急時の立ち入り及び免責
1 家主(以下「甲」)、警備会社が、賃借人(以下「乙」)の安否確認に緊急を 要すると判断した場合、甲および警備会社は乙の同意を得ることなく、本物件内に立ち入ることができるものとする。
2 前項の緊急立ち入りに伴い、鍵や扉の破損等の損害が生じた場合、甲および警備会社はその賠償責任を負わないものとする。
第〇〇条(早期発見のための機器維持義務)
1 乙は、本物件に設置された見守りサービス機器の電源を故意に切る、またはセンサーを遮る等の行為をしてはならない。
2 乙が前項に違反し、または警備会社への合鍵預入を拒否・解除したことにより、安否確認や救命措置、遺体発見が遅れた場合、それによって生じた原状回復費用(特殊清掃、消臭等)および次期入居者の賃料減額等の損害について、乙(または乙の連帯保証人・相続人)は甲に対して賠償する責任を負う。
第〇〇条(残置物の処理および死後事務の委任)
乙が本物件内で死亡した場合、乙の相続人(または事前に指定した死後事務受任 者は、甲の請求に基づき、速やかに本物件内の動産(遺品)を搬出し、本物件を明け渡さなければならない。
6、警備会社との契約を締結する際の注意点
(1)マスターキー(合鍵)の預け先と「勝手に入ること」に対する同意
警備会社が夜間に駆けつけた際、玄関の鍵が開いていないと中に入れません。
そのため、
①入居時に警備会社へ合鍵を預ける
または
②外壁に暗証番号式の鍵保管ボックス(キィステーション)を設置
などの契約を必須にする必要があります。
また、緊急時に家主や警備員が「本人の同意なく解錠して入室する」ことに対する承諾書を、賃貸契約書とは別に交わしておくことが肝要です。
(2)「義務付け」を家賃・管理費にどう組み込むか?
㋐警備会社との「見守り契約+緊急サービス契約」
㋑孤独死保険
共に月数千円ですが、入居者個人に個別に契約させると、滞納や解約のリスクが生まれます。
そこで、これらをすべて「共益費(管理費)」に最初から上乗せして家主が一括回収。アパート全体で包括契約を結ぶ形が一番安全で確実です。
同時に、普段から空室率が高いからこその「高齢者居住アパート」であることを考慮し、共益費(管理費)の分、家賃を下げます。
例えば、従来、家賃5万円+共益費(管理費)5千円=5万5千円で貸していたのなら、家賃4万5千円+共益費(管理費)1万円=5万5千円とします。
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投稿者プロフィール

- 行政書士
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◎主な業務内容:
相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、アポスティーユ申請手続き代行、国際結婚手続き代行、在留資格「日本人の配偶者等」(配偶者ビザ)申請代行、国際相続手続き相談
山梨県甲府市の行政書士です。
高齢化社会を元気に生きる社会に。
体の不自由なお年寄りが安心して生活出来る社会を作りたい、
困っている方の力になりたい。
皆で応援し、安心して暮らせる社会を作りたい。
そんな願いを胸に日々仕事に従事しています。
当事務所への「お問い合わせ欄」は「こちら」
TEL:055‐215-2201
お気軽にご相談ください。
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