障害のある子供の「親亡き後」
1、事例
(1)相談者母親(80歳)
㋐老齢基礎年金:月6万円+遺族厚生年金:月3万円
㋑生活費:月5万円。
㋒現在は健康。介護サービスも利用していない。
(2)長男(48歳):
㋐療育手帳A保持。
㋑障害年金:年831700円(月約69308円)
㋒障害福祉サービス利用。B型事業所にて工賃月3万円。
㋓預貯金:300万円
㋔お金の管理は困難
(3)次男(45歳):
㋐健常者。独身。
㋑預貯金:300万円。
㋒今後も母親、長男と一緒に実家に住む予定。
長男は、以前、甲府市内のグループホームを数日間利用した事がありますが、実家との環境の変化を非常に嫌がっており、中々慣れず、馴染めません。
私が次男の面倒を見ているので、現在は障害福祉サービスの利用は最小限に止まっています。
相続財産は
実家:1000万円(時価)。名義は母親
預貯金:1000万円
私自身は、現在は健康で、介護サービスも利用していませんが、将来は分かりません。
自分自身の事も不安ですが、長男の事はもっと不安に感じている。
2、特定贈与信託
「特定贈与信託」とは、障害を持った人が不自由なく、安定した生活を送れるように、本人の親族等が本人の財産の管理、運用を信託銀行などに任せる方法のことをいいます。
◎構成
㋐委託者:障害者を持った子供の親族等
㋑受託者:信託銀行等
㋒受益者:障害を持った子供
①委託者である本人の親族等が、信託銀行等(受託者)に財産を信託
②受託者が管理、運用する財産は、受益者が不自由なく、安定した生活を送るための生活費、医療費等として定期的に交付。
それ以外の用途では使用できない
③信託財産から得られる利益は、障害を持った子供(受益者)が受け取れます
◎受益者になれる要件
「特別障害者」に該当すること。
「特別障害者」とは、
①重度知的障害者
②精神障害者保健福祉手帳1級の人
③身体障害者手帳1級または2級の人
受益者が特別障害者ですと最大6000万円まで、特別障害者以外の特定障害者ですと最大3000万円まで贈与税が非課税となります。
本事例の長男の場合「療育手帳A」を所持しているので「特別障害者」に該当する可能性が高いです。
ただ、多くの場合、最低信託財産の額が1000万円と決められています。相談者の母親の預貯金が1000万円なので、母親自身の生活費も残すことを考慮して、それ以下の金額で「特定贈与信託」の利用が可能かどうか?、信託銀行などに問い合わせることが必要です。
3、遺言書の作成
将来母親が亡くなった際に備えて、次男に多めの財産を相続させる遺言書を作成することが考えられます。
ただし、次男に過度の負担を掛けないために「多めの財産を相続させることと引き換えに長男の世話をお願いする」のではなく、相談支援専門員など、福祉関係者に長男の障害福祉サービス利用方針を相談。困難ならグループホームの利用を検討します。
また、成年後見制度の利用も検討。将来、家庭裁判所に成年後見人の選任の申し立てをすることにより、次男の財産管理、身上監護(入院手続き、施設入所手続き)を担ってもらいます。
つまり、次男を「長男の世話をする者」と位置付けるのではなく、「長男の世話に際してのキーパーソン」と位置付けます。

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投稿者プロフィール

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相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、アポスティーユ申請手続き代行、国際結婚手続き代行、在留資格「日本人の配偶者等」(配偶者ビザ)申請代行、国際相続手続き相談
山梨県甲府市の行政書士です。
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