ペット信託:委託者(飼い主)認知症に。受託者(金銭管理者)の報告義務は誰に?
1、ペット信託
「ペット信託」とは飼い主の死亡などに備える信託契約のことをいいます。
新たな飼い主によって飼育が継続され、費用はあらかじめ財産を渡された家族等が支払います。
◎ペット信託の構成
㋐委託者:飼い主
㋑受託者:親族、友人等
㋒受益者:当初は飼い主
㋓第二受益者:実際にペットを飼育する人
㋔信託財産:ペットを飼育するのに必要な金銭等
㋕信託終了自由:ペットの死亡
2、委託者認知症。受託者の報告義務は?
「ペット信託契約書」には、飼育費用などのお金の使い道について、例えば、毎月末、受託者から委託者への「報告義務」の条項が設けられています。
飼い主が健康で判断能力を有している状態なら、報告義務は委託者に対し行います。
これに対し、飼い主が認知症などに発症。判断能力が低下したら、適切な管理、監督が期待できなくなるため、受託者の報告義務は、第二受益者である新飼い主及び信託監督人(選任されている場合)に対して行います。
ペット信託契約書の中でも実効性を担保するために、「報告義務」条項に「委託者および信託監督人(選任されている場合)に報告する」と機械的に定めるのではなく、第2項に「本人が認知症を発症など判断能力が低下した後は「信託監督人(選任されている場合)及び第二受益者に報告する」旨の規定を設けておきます。
(1)第二受益者である新飼い主に対する報告義務
信託法上の帳簿作成・報告義務を根拠とする(36条、37条)。
(2)信託監督人に対する報告義務
「ペット信託契約」で設置している場合に義務付けられている。
3、旧飼い主に成年後見人が就任した場合
信託法上、受託者が毎年行うべき定期報告(計算書等の提出)の相手方は、信託監督人がいる場合は「信託監督人」と定められています(信託法37条3項)。
なので、旧飼い主に成年後見人が就任したとしても、成年後見人に対し、報告義務はありません。
しかし、成年後見人は認知症になった旧飼い主が有していた「信託の状況をチェックする権利」(帳簿の閲覧請求権など)を丸ごと引き継ぐことになります。
そのため、もし成年後見人から「信託財産が今どうなっているか?」と求められた場合、受託者はこれを拒否することはできず、説明や資料開示を行わなければなりません。

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