熟年離婚。財産分与をどうする?

㋐相談者妻(56歳)。

甲府市内の住宅街に建つ一戸建て(時価1000万。ローンが500万残っている。実家の名義は夫。ローンの名義も夫)で一人暮らしをしています。

㋑夫(59歳)。

25歳の時に結婚。大手メーカーの地方支社(65歳定年制)の支社長。
年収は1500万円で、長く単身赴任を続けています。

㋒2人の子供は結婚後独立。現在実家に住むのは私(妻)さんだけ。
夫から毎月振り込まれる30万円の仕送りがあります。


㋓ある日「性格の不一致」を理由に「離婚しよう」を言われました(熟年離婚)。

㋔離婚後の財産分与ですが
夫婦とも結婚前と結婚後の資産が明確に区別できます。
妻:結婚前の預貯金200万円、結婚後400万円
夫:結婚前の預貯金500万円、結婚後2000万円


夫婦とも実家、預貯金以外に財産はありません。

㋕実家は「私(妻)がそのまま住んでもよい」と言われました。

実家のローンは名義人でもある夫が引き続き支払います。

銀行の了承は、まだ離婚が成立していないのでこれからです。

「財産分与」とは、婚姻期間中に夫婦で協力して築き上げた財産を離婚時に公平に分配することをいいます。

財産分与するのかどうかは、夫婦の判断に委ねられており当事者の自由です。

財産分与の割合は、基本的に1/2ずつとなります。

次に、財産分与の対象となる財産を「共有財産」といい、婚姻期間中に夫婦で協力して形成・維持してきた財産をいいます。

本事例の場合、

(1)預貯金

400万円+1500万円=1900万円が「共有財産」となります。

したがって、1/2ずつを前提とすると、妻の取り分は950万円。

すでに400万円持ってるので、夫から妻へ550万、ということになります。

(2)実家

時価1000万円、ローンが500万円なので、

1000万円ー500万円=500万円が純資産となり、夫婦共有財産となります。

したがって、1900万円+500万円=2400万円となり、妻の取り分は1200万です。

妻はすでに400万円持ってるので。夫から妻へ800万円、になります。

つまり、現時点で妻は夫からの800万円+既存預金400万円+実家の純資産500万円=1700万円取得していることになります。

そして、「500万円ローンを夫が支払う」としているので、500万円免れた妻の経済的利益を考慮して、

既存預金:400万円

実家の純資産500万円

夫が負担するローン:500万円

夫から妻へ:300万円

合計1700万円となります。

その他、注意すべきこととして、以下の事項があります。

(1)今後の生活費

夫からの仕送りの30万円は離婚後はありません。

実家に住むことができるとはいえ、生活収入を考える必要があります。

現在56歳なので、少なくても年金受給可能な年齢まで、生活費、医療費などについて、考えておくべきです。

(2)健康保険

夫の会社の健康保険の被扶養者になっている場合、離婚後はその資格を失う可能性が高いです。

国民健康保険への変更などを考えます。

(3)生命保険の受取人

夫が被保険者、契約者。妻が受取人の場合、離婚後の受取人は妻のままなのか、それとも子供にするのか、などを考えます。

(4)住宅ローンの支払い

離婚協議書に「夫が住宅ローン500万円支払う」と記載しても、銀行との契約関係は変わりません。

別途、銀行の了承を得る必要があります。

(5)年金分割

上の1700万円とは別に「年金分割」があります。

本事例では、34年間の婚姻期間があるので、厚生年金について婚姻期間中の記録が対象になります。

(6)退職金

退職金も財産分与の対象になります。

本事例の場合、65歳定年制の会社なので、退職金はまだ支払われていません。

代表的な計算方法は「現時点で退職したと仮定して計算する方法」です。

現時点で退職した場合に支払われる退職金×婚姻期間÷勤務期間×1/2

この後の投稿は「元夫死亡。引き続き元妻に実家に住んでもらうためには」で。

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