認知症を理由とする離婚請求:長野地裁平成2年9月17日判決
1、認知症を理由とする離婚請求
認知症が軽度である場合、協議離婚や調停離婚で、夫婦双方が離婚に合意すれば離婚することが可能です。
しかし、認知症が重度の場合、重度の精神病(民法第770条1項4号)、その他婚姻を継続し難い重大な事由(同条1項5号)であることを理由に離婚訴訟を提起しなければなりません。
とはいえ、意思の疎通ができない相手と、調停、審判、裁判によって離婚することはできません。
離婚の手続きを進めるには、まずは家庭裁判所に成年後見人の選任の申立てをして、相手に成年後見人を付ける必要があります。
成年後見人は訴訟で代理人となることはできるので、成年後見人を相手方として離婚裁判を起こし、離婚の成立を目指すことになります。
2、長野地裁平成2年9月17日判決
[事例]
妻がアルツハイマー病などと診断された後、家事も次第にできなくなり、通常の会話もできなくなりました。
そして診断から3年後、特別養護老人ホームに入居。医師より痴呆の程度は重度で回復の見込みはないと診断。
夫が民法770条1項4・5号により離婚を請求。
[判決]
アルツハイマー病に罹患している状態を、民法第770条1項4号にいう「強度の精神病にかかり、回復の見込みがない」に該当するとまでは認めなかったものの、妻が長期間に渡り夫婦の協力義務を果たせず婚姻関係が破綻していると認定。「その他婚姻を継続し難い重大な事由」(同条1項5号)により離婚を認めました。
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