ベトナム所在の不動産を遺言書により特定の相続人に相続させるには
1、ベトナム人が死亡した際の相続手続き
「法の適用に関する通則法」には、「相続は、被相続人の本国法による」と明記されており、相続に関しては亡くなった人の国籍を持つ国の法律が適用されます。
なので、日本で亡くなった在日ベトナム人の相続手続きは、ベトナムの法律に基づいて行われることになります。
ベトナム法ですが「相続は、相続される被相続人が死亡の直前に国籍を有していた国の法令に従って確定される」と規定されています。
また、不動産に関する相続について「不動産が所在する地の国の法令に従って確定される」とされています。
したがって、
①日本国内で死亡したベトナム人の相続についてはベトナム法が適用される
②日本国内に不動産を所有していた場合、当該不動産の相続については、その不動産の所在地の法律(日本法)に従う
③動産(預貯金など)についてはベトナム法に従う
④ベトナム国内の財産については、ベトナム法に従う
ことになります。
2、遺言の方式について日本の民法を適用できる?
遺言は、その方式が次に掲げる法のいずれかに適合するときは、方式に関し有効とする(遺言の方式の準拠法に関する法律2条)。
(1)行為地法
遺言をする国等の法律にしたがって遺言をすることをいいます。
したがって、日本の民法が定める方式にしたがって遺言をすれば、遺言の方式としては有効ということです。
(2)遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法
ベトナムの法律に定める方式によって遺言をしていれば、その方式については有効です。
(3)遺言者が遺言の成立又は死亡の当時住所を有した地の法
(4)遺言者が遺言の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法
(5)不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法
3、ベトナム所在の不動産を特定の相続人に相続させたい
ベトナム所在の不動産を特定の相続人(例:子供)に相続させる方法は
①日本法に基づき、日本国内の公証役場で遺言書を作成する
②ベトナム法に基づいて、ベトナムの公証役場で遺言書を作成する
があります。
ただ、ベトナム人が含まれる相続手続きは、言葉の壁、地理的な要因、両国間の手続きに違い、など、非常に難易度が高くなります。
なので、生前遺言書を残すには
㋐ベトナム国内の不動産、預金はベトナム人相続人へ相続させる
㋑日本国内の不動産、預貯金は日本在住の相続人に相続させる、
のが賢明です。
4、ベトナム法に基づき遺言書を作成:日本法との違い
ベトナム法に基づき、ベトナムの公証役場で遺言書を作成する際、日本法との主な違いは以下の通りです。
①ベトナムの民法では、婚姻中に取得した財産は原則として夫婦の「共有財産」とみなされることから、配偶者がいる場合、遺言作成時に配偶者の共同署名が必要となります。
②相続開始後は、遺言書をもとにベトナムの公証役場で「相続宣言手続」を行います。
その後、不動産の場合、土地管理当局でピンクブック(権利証)の名義変更手続きを進めることにより、土地使用権と建物の所有権の変更が公的に証明されることになります。
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