在日韓国人死亡。韓国の本籍地が分からない場合

相続手続きにおいて戸籍謄本は「亡くなった人の法定相続人が誰か」を明らかにするための証明として用いられます。

◎戸籍謄本が必要な場面

①遺言書の検認

②相続税の申告

③遺族年金の請求

④不動産の相続登記

⑤預貯金の名義変更

⑥相続放棄の申し立て

など

相続による不動産の名義変更(相続登記の申請)などには、被相続人の出生から死亡までを証明する戸籍謄本、被相続人の住民票の除票などが必要です。

しかし、日本の戸籍には日本国籍がある日本人のみが登録され、外国籍の外国人は登録されません。

そのため、在日韓国人が死亡した場合、戸籍謄本等による相続関係の証明はできず、それに代わる書類を提出して相続関係を証明する必要があります。

(1)韓国での除籍謄本

2008年の戸籍制度改革前の戸籍謄本です。

(2)家族関係証明書

本人の基本情報(登録基準地、姓名、性別、本籍地、出生年月日、住民登録番号)とその家族(父母、養父母、配偶者、子供)の基本情報が記載されたものです。

(3)基本証明書

本人の基本情報に加えて、出生、親権、死亡、国籍の喪失や取得などの身分事項が記載されたものです。

(4)婚姻関係証明書

本人と配偶者の基本情報、婚姻や離婚に関する事項が記載されたものです。

(5)外国人住民票の除票の写し

死亡まで日本に居住していたことを証明するため、最終住所が記載されたもので

す。

※(1)~(4)は、韓国大使館・領事館で取得します。

※(1)~(4)を提出する際には、日本語の翻訳文も提出しなければなりません。

被相続人(亡くなった方)が生前帰化していた場合、日本民法を適用して相続手続きを進めることになりますが、被相続人の出生から帰化(国籍喪失)までの韓国の戸籍とその翻訳文は必要となります。

なぜなら、帰化者の場合、韓国籍時代に婚姻の事実、認知した子供の存在があるかもしれないからです。

つまり「他に相続人がいない」という「証明」のために必要となります。

(1)外国人登録原票

出入国在留管理庁で請求します。

「外国人登録原票」には

①氏名

②生年月日

③国籍

④旅券番号

⑤登録番号

⑥上陸許可年月日

⑦在留の資格

⑧在留期間

⑨出生地

⑩国籍の属する国における住所又は居所

⑪居住地

⑫世帯主の氏名

⑬世帯主との続柄

⑭世帯主である場合の世帯を構成する者(世帯主との続柄、氏名、生年月日、国籍)

⑮本邦にある父・母・配偶者

などが記載されており、韓国国籍を補充するものとして役立ちます。

※参考:「出入国在留管理庁HP「外国人登録原票に係る開示請求について

(2)出生届記載事項証明書

市区町村役場で入手します。

父母の姓名、生年月日、本籍地、住所が記載されているので、同じく韓国戸籍を補充。相続人としての推定に役立ちます。

韓国大使館・領事館で「韓国での除籍謄本」や「家族関係証明書」を取得する際、「本籍地」の記載が必要ですが、配偶者、子供が日本国籍ですと、本籍地が分からない場合もあります。

「本籍地」が分からなければ、出入国在留管理庁で「外国人登録原票」を取得。

上の⑩「国籍の属する国における住所又は居所」が「本籍地」となります。

亡くなった時点の国籍が韓国籍の場合、日本在住の方でも韓国の法律に基づいて相続手続きをしなければなりません。

ただし、亡くなる前に「相続は日本法に準拠する」旨の遺言書を残されている場合は、日本の法律で相続手続きができます。

韓国戸籍の収集は複雑で手間がかかる上に、出生、婚姻、死亡時に韓国側に届けていない、などの理由で取得できないこともあります。

そこで、生前のうちに公正証書遺言を作成し、かつ、遺言書の中で遺言執行者を指定しておけば、公正証書遺言書の作成時も、死亡後の相続手続きも「銀行の手続き」などなら、戸籍を出生から取り寄せる必要はなく、「最後の戸籍(除籍)謄本のみ」で足ります。

もっとも、たとえ公正証書遺言+遺言執行者の指定でも、不動産の名義変更(相続登記)については、原則通り、生まれてから亡くなるまでの戸籍が必要になります。

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