配偶者居住権が付いた家を売却するには

「配偶者居住権」とは、亡くなった方が所有していた実家等の建物に、亡くなった人の配偶者が住み続けられる権利です。

従来、配偶者が相続によって実家の所有権を獲得しても、他の相続人とのバランス上、預貯金等の相続を諦めざるを得ませんでした。

しかし、これでは、住む家は確保できても、生活するのに困ることになります。

「配偶者居住権」は所有権と居住権を分離することです。

配偶者は建物を所有することなく、一定の法律上の権利に基づいて住み続けられます。

所有者は建物の名義人になりますが、配偶者居住権が存続する限り、その建物を自分で自由に使えるわけではありません。

このように「無償での住居の確保」と「バランスの良い遺産分割」の双方のバランスを考慮した制度といえます。

まず、「配偶者居住権」は、登記をして初めて第三者に主張できます。

建物の所有者には、この登記に協力する義務があります。

登記をしないまま所有者がその建物を売却してしまうと、買主に対し「私には住む権利(配偶者居住権)があります」と主張することはできません。

次に「配偶者居住権」は、他人に売ったりなど、譲渡することはできません。

建物を第三者に貸す際にも、所有者の承諾が必要です。

では、「配偶者居住権が付いた家を売却する」とは、どのようなことを意味するのでしょうか?。

「配偶者居住権」が登記されている場合、所有者が建物を売却しても、買主は配偶者居住権の負担を受ける建物の所有権を得たことになります。

買主は登記記録を確認すれば配偶者居住権の存在を把握できるため「知らなかった」と主張して配偶者を追い出すことはできません。

なので、「配偶者居住権」が付いたままの建物を売却するのは困難です。

通常は、配偶者が「配偶者居住権」を放棄するか、当事者間で合意解除するかで登記を抹消。所有権だけの状態にしてから売却を試みることになります。

配偶者の放棄、合意解除で「配偶者居住権」が消滅した際、建物の所有者が配偶者に対価を払わない、もしくは著しく低い対価しか払わなかった場合、消滅した時点の配偶者居住権の価額に相当する利益の贈与があったものとみなされ、配偶者から所有者への贈与として贈与税がかかる可能性がある点に注意が必要です。

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