借地上の建物の「持分」だけでは地主に買取請求できない(最高裁令和8年8月28日判決)
1、事例
◎事例:
㋐区分所有建物です。所有者が亡くなり、その子4人が相続によって専有部分をそれぞれ1/4ずつ取得。
㋑不動産会社。4人のうち3人から合計3/4の持ち分を購入。
㋒地主。不動産会社への譲渡を承諾せず。
㋓不動産会社。借地借家法第14条の「第三者の建物買取請求権」により、取得した建物持ち分を地主に買い取るよう請求
◎争点:建物の「持分」について建物買取請求権が成立するか?
2、令和8年8月28日最高裁判決
最高裁は、不動産会社側の上告を棄却。「建物の持ち分について建物買取請求権は成立しない」と判示しました。
◎判決理由
(1)地主が建物の共有関係に巻き込まれる点で不利益を被る
建物の全部について買取請求を受けた地主は、時価を払えば建物の所有権を丸ごと取得することができます。
その後の手段として
①建物を売却。新たに借地権を設定
②取り壊して土地を別の用途に使用
できます。
ところが、持分だけを買い取らされると、地主は他の共有者と建物を共有する立場となります。
「自らの意思ではなく」持分の時価相当額を負担しながら、建物を自由に処分できず、他の共有者と使用収益するに止めるに過ぎない点で、建物全部を買い取る場合に比べ、重大な不利益を被ることになります。
(2)持分なら「共有物分割」により、回収することができる
買主の側にも、共有物分割請求により、資金を回収することができます。
なので、別に買取請求権を認める必要性は乏しいと考えられます。
3、持分を取得した場合、他に取り得る方法
(1)裁判所による「承諾に代わる許可)
地主が承諾しない場合、裁判所に借地借家法第19条による「承諾に代わる許可」を申し立てることもできます。
持分の譲渡についてもこの制度は使うことができます。
(2)他の共有部分も取得する
他の共有持分(本事例の場合1/4)もまとめて取得すれば、建物全部の所有権を得ることができ「買取請求権」の行使が可能になります。
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