熟年離婚と年金分割
1、熟年離婚
「熟年離婚」とは、婚姻期間が20年以上の夫婦が離婚することをいいます。
妻もしくは夫から離婚を切り出す背景として以下のものを挙げることができます。
①長年寄り添うことによる価値観のズレ
②夫の定年退職により、家にいる時間が増加した
③既に子供が自立している
親権、養育費、面会交流(注:2026年4月民法改正により「親子交流」に)など、子供に関する条件を考慮する必要がない
④介護(特に義理の親)をしたくない
離婚すれば介護を押し付けられることもない
2、年金分割
「年金分割」とは、離婚した場合に、お二人の婚姻期間中の保険料納付額に対応する厚生年金を分割して、それぞれ自分の年金とすることができる制度のことをいいます。
年金分割の方法は2種類あります。
(1)合意分割
「婚姻期間全体」について厚生年金の保険料の納付記録が分割されます。
文字通り「相手の同意」が必要です。
(2)3号分割
平成20年4月以降に被扶養配偶者であった期間の厚生年金の保険料の納付記録について分割されます。合意分割と異なり、相手の配偶者の同意は必要ありません。
※参考:「日本年金機構HP「離婚時の年金分割」
3、「合意分割」の流れ
(1)離婚成立
↓
(2)年金分割のための情報通知書の取得
対象期間、標準報酬総額、按分割合の範囲など、年金分割を請求するために必要な情報を取得するため、年金事務所に「情報提供請求書」を提出します。
↓
(3)按分割合の決定
按分割合ですが、
㋐上限:2分の1
㋑下限:2人の標準報酬合計額に対して標準報酬の少ない方が占める割合
◎事例:
夫の標準報酬合計額:8000万円
妻の標準報酬合計額:2000万円
2人の合計額1億円。妻の方が占める割合は10分の2。
したがって、按分割合は20%~50%の割合で決める必要があります。
↓
(4)按分割合を定めた「年金分割の合意書」を作成
「年金分割合意書」を作成。公証人の認証(私署証書の認証)を受けておけば、1人で手続きできます。
手数料は6500円です(平成7年10月から5500円→6500円に改定)。
2人で年金事務所で手続きする場合は、公正証書ではない「年金分割合意書」でも手続き可能です。
年金事務所にも「年金分割合意書」の用紙が用意されているので、年金事務所で記載、署名することもできます。
↓
(5)年金事務所に「標準報酬改定請求書」を提出
↓
(6)年金事務所。標準報酬額を改定。両当事者に決定を通知
4、私文書の認証
当事者の協議で「年金分割」に同意。年金分割の「合意書」を交わした後、年金事務所で手続する前に、公証役場で「私文書の認証」という手続を行うことが一般的です。
「私文書の認証」とは、私文書の成立の真正を証明するため、私文書にされた署名(署名押印)または記名押印(押印(おういん))が本人のものであることを、公証人が証明することをいいます。
上でも書いた通り、夫婦の一方が年金事務所で手続きする場合、公証役場で公証人から認証を受けた「合意書」でなければなりません。
◎必要書類
①年金分割合意書:夫婦の署名、押印のあるもの
②夫婦双方の印鑑証明書
③実印
④本人確認書類:運転免許証など
⑤婚姻期間が確認できる戸籍謄本
※参考:「日本公証人連合会HP「私署証書の認証」
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山梨県甲府市の行政書士です。
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