「離檀料」を払わなくても「墓じまい」できる?
1、墓じまい
「墓じまい」とは、墓石を撤去し、墓所を更地にして使用権を返還することです。
法律上、お墓に納められているご遺骨を勝手に取り出して別の場所に納骨したり、廃棄したりすることはできません。行政の手続きが必要です。
近年、地方の過疎化や少子化、高齢化等の影響もあり、継承する方がいない無縁墓が増えています。
また
①子供に負担をかけたくない
②遠方にお墓がありお墓参り、管理が難しい
等、お墓に対する価値観の変化から、お墓じまいを検討する方が増加しています。
2、寺院とのトラブル
お墓が公営墓地ではなく寺院墓地にある場合、墓じまいにあたり
(1)高額な離檀料を要求される
(2)遺骨を引き渡さない
等のトラブルが発生する場合があります。
(1)離檀料
「離檀料」とは、寺院墓地のお墓を墓じまいし、お寺との檀家関係を解消する場合に、檀家からお寺に支払うお布施のことをいいます。
相場は、10万円~30万円ほどです。
「離檀料」については、法的な支払い強制力はありません。
あくまでも長年遺骨を管理して頂いた「お気持ち」です。
(2)遺骨の引渡し
離檀を申し入れたところお寺から高額な離檀料を請求され、それを納めない限り埋蔵証明書は交付しない、遺骨を引き渡さないという対応をとられるというケースがあります。
また、話し合いの末、離檀料の金額が決まったとしても、指定石材店がお寺の意向を組んで相場よりも高額なお墓の解体費用を請求してくることがあります。
3、「埋蔵証明書」に代わる書面
墓じまい、改葬の際には、原則として、寺院による「埋蔵証明書」の発行が必要です。
しかし、高額な「離檀料」を要求するなどの理由で、寺院がどうしても応じなかったら、埋蔵証明書に代わるものとして「市町村長が必要と認めるこれに準ずる書面」(墓埋法規則第2条2項1号)を提出することが認められています。
どのような書面が必要になるか、ですが、
①故人の戸籍謄本、除籍謄本
②改葬する墓誌が写っている墓地の写真
など、自治体によって異なります。
担当者に問い合わせてみましょう。
4、市区町村役場による「改葬許可証」の交付
「「埋蔵証明書」に代わる書面」の提出により、市区町村役場が「改葬許可証」の発行を認めれば、遺骨の取り出しに向けて一歩前進となります。
お布施や「離檀料」は、墓地使用の対価料金ではなく、「志」にすぎません。
「改葬許可証」さえ手に入れることができれば、あとは、「墓地使用契約」の解除の交渉のみとなります。
仮に寺院側との交渉が難航し、「離檀料」の支払いを巡って裁判になったとしても、支払う義務のない高額な離檀料がそのまま認められるとは考えにくく、「慣習に基づく額の支払い」に落ち着くのが一般的です。
5、まとめ
寺院から高額な「離檀料」を請求された場合、弁護士と相談の上で、遺骨返還請求訴訟、損害賠償請求訴訟を提起しつつ、市区町村役場にて「「埋蔵証明書」に代わる書面」を提出することにより、「改葬許可証」を発行してもらう。
両者を並行して進めておけば、遺骨の移動もスムーズに行うことができるでしょう。
あらかじめ「離檀料」に関する記載のある契約書を交わしていない限り、離檀料を支払う義務はありません。
できるだけ、良好な関係を維持しつつ、感謝の気持ちを述べながら、寺院に「墓じまい」を申し出てみることから始めてみましょう。
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行政書士は唯一、役所への墓じまい(改葬許可証を取得)の申請が認められている国家資格者です。
行政書士以外の者が依頼を受け、報酬を得て、墓じまいに必要な改葬許可申請等を代理、代行することは法律で禁止されています。
山梨県、甲府市で墓じまいを検討している方。
行政書士は法律で厳格な守秘義務が課せられておりますので、安心してご相談ください。
投稿者プロフィール

- 行政書士
-
◎主な業務内容:
相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行
山梨県甲府市の行政書士です。
高齢化社会を元気に生きる社会に。
体の不自由なお年寄りが安心して生活出来る社会を作りたい、
困っている方の力になりたい。
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