親が認知症になったら

親が認知症を発症すると、介護費用、医療費用など、様々な費用が発生することが予想されます。

まずは、親の銀行口座(普通預金と定期預金)の確認をしておきましょう。

銀行口座を確認するには、親の通帳やキャッシュカードを見つけておくことが必要です。

もし、銀行口座を開設した覚えがあっても通帳やキャッシュカードが見つからない場合、当該銀行に照会する方法もあります。

同時に貸金庫の確認もしておくと有用です。

貸金庫には不動産の権利証、契約書など、重要書類、貴重品が保管されていることがあります。

貸金庫を借りている金融機関には、必ず預貯金の口座があるので、忘れずにチェックしておきましょう。

認知症の発症による医療費、介護費の増加に備え、どのような医療保険、介護保険に加入しているか、チェックしておきましょう。

特に重要なのは、保険契約に「指定代理請求制度」が含まれているかどうか?、です。

「指定代理請求制度」とは、ご本人が事故や病気などで寝たきりの状態となるなど、保険金のご請求等を行うことができない事態に備え、あらかじめ「指定代理請求人」を指定することで、指定代理請求人が保険金の請求などを行うことができる制度のことをいいます。

指定代理請求人は、配偶者、直系血族などのように、被保険者と一定の親族関係にある者に限定されています。

指定代理請求人の指定がなされていない場合、親が認知症によって判断能力を失ってしまうと、保険金の請求ができなくなる恐れがあります。

また、できれば保険金の受取口座を親の口座ではなく、指定代理請求人の口座にしておくと、親の認知症による口座凍結が原因で保険金が引き出せない事態を回避することができます。

※参考:「かんぽ生命HP「指定代理人制度

各自治体の「地域包括支援センター」は、地域における介護・保健・福祉・医療の総合的な相談窓口です。

専門知識を持った職員、社会福祉士、ケアマネージャーなどが、高齢者が住み慣れた地域で生活できるよう、介護サービス、保健福祉サービス、日常生活支援などの相談に応じてます。

親が認知症になったら、今後の介護の方針など「地域包括支援センター」に相談してみましょう。

※参考:甲府市HP

※参考:「甲府市HP「甲府市地域包括支援センター一覧

「家族信託」は、所有権を「財産権(財産から利益を受ける権利)」と「財産を管理運用処分できる権利」とに分けて、後者だけを子供等に渡すことができる契約です。

これにより、所有者である親が認知症になったり、介護が必要になって自分で財産を管理できなくなったとしても、子供等が親のために、信託された財産の管理、運用、処分をすることができるようになります。

「家族信託」の登場人物ですが「委託者」「受託者」「受益者」です

・委託者:財産の元々の所有者。受託者に財産を信託する人

・受託者:委託者から財産の管理運用処分を任される人

・受益者:財産から利益を受ける人

「家族信託」の仕組みは、委託者が財産の管理を受託者に任せ、その財産を受託者が管理、その財産から発生した利益を受益者が得る、です。

「任意後見契約」とは、将来認知症などで判断能力が低下した場合に備えて、予め「任意後見人」を選任することを内容とする契約です。

任意後見人は、財産の管理や身上監護を代理します。

①財産の管理

将来認知症などで本人の判断能力が低下しても、任意後見人が契約の締結等を代理することで、詐欺や悪徳商法等から本人の財産を守ることができます。

②身上監護

介護施設への入居契約、病院での入院手続き等も、任意後見人が代理することでスムーズに締結することが可能です。

任意後見なら、法定後見制度と違い、信頼できる任意後見人を自由に選ぶことができます。

※参考:「裁判所HP「任意後見制度の概要を知りたい方へ

「尊厳死」とは、一般的に「回復の見込みのない末期状態の患者に対して、生命維持治療を差し控え、または中止し、人間としての尊厳を保たせつつ、死を迎えさせることをいう。」と解されています。

近代医学は、患者が生きている限り最後まで治療を施すという考え方に忠実に従い、生かすべく最後まで治療を施すことが行われてきました。

しかし、延命治療に関する医療技術の進歩により、患者が植物状態になっても長年生きている実例等がきっかけとなって、単に延命を図る目的だけの治療が、果たして患者の利益になっているのか、むしろ患者を苦しめ、その尊厳を害しているのではないかという問題認識から、患者本人の意思(患者の自己決定権)を尊重するという考えが重視されるようになりました。

「尊厳死」は、現代の延命治療技術がもたらした過剰な治療を差し控え、または中止し、単なる死期の引き延ばしを止めることであって、それは許されると考えられるようになりました。

近時、我が国の医学界等でも、尊厳死の考え方を積極的に容認するようになり、また、過剰な末期治療を施されることによって近親者に物心両面から多大な負担を強いるのではないかという懸念から、自らの考えで尊厳死に関する公正証書の作成を嘱託する人も出てくるようになってきました。

「尊厳死宣言公正証書」とは、嘱託人が自らの考えで尊厳死を望む、すなわち延命措置を差し控え、または中止する旨等の宣言をし、公証人がこれを聴取する事実実験をしてその結果を公正証書にするものです

(日本公証人連合会HPより)。

重度の認知症になると、胃ろう拒否など医療行為、延命治療の希望などを意思として表明することができなくなります。

もしかしたら、昏睡状態で家族の意思により、本人の意思に反する形で「ただ生かされる」状態になってしまうかもしれません。

生前元気な内に医療行為、延命治療などについて希望があれば、是非「尊厳死宣言公正証書」の作成を。

※参考:「日本公証人連合会HP

一番重要なのは「元気な内に認知症に備え、家族信託契約の締結、任意後見制度の利用などを実施すること」。

認知症を発症。判断能力が低下すると、

①銀行預貯金の引き出し、解約。

②実家を売却。介護施設への入居契約。

③遺言書作成、生前贈与などの相続対策

などができなくなります。

そうなったら遅いです。

認知症対策についてお悩みの方は是非専門家にご相談を。

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各自治体の「地域包括支援センター」は、地域における介護・保健・福祉・医療の総合的な相談窓口です。

認知症になると出来なくなること

認知症に発症。判断能力がなくなると、契約行為ができなくなります。

家族信託

「家族信託」は、所有権を「財産権(財産から利益を受ける権利)」と「財産を管理運用処分できる権利」とに分けて、後者だけを子供等に渡すことができる契約です。

任意後見契約

「任意後見契約」とは、将来認知症などで判断能力が低下した場合に備えて、予め「任意後見人」を選任することを内容とする契約です。

認知症に備え「尊厳死宣言公正証書」の作成を

1、定義(日本公証人連合会HPより) 「尊厳死」とは、一般的に「回復の見込みのない末期状態の患者に対して、生命維持治療を差し控え、または中止し、人間としての尊厳…

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山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
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相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行

山梨県甲府市の行政書士です。
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