再転相続

１、定義

「再転相続」とは、当初の相続における相続人が熟慮期間中に相続放棄、単純承認等をする前に死亡し、次の相続人が相続したケース。

１回目の相続を一次相続、２回目の相続を二次相続といいます。

似たような言葉に「数次相続」があります。

数次相続とは、相続人が第１の相続について承認するという選択をしたものの、具体的な遺産分割を行う前に亡くなってしまった場合をいいます。

つまり、両者の違いは、「再転相続」が熟慮期間の場面、「数次相続」が遺産分割協議の場面で、です。

２、具体例

Q：祖父が亡くなって父親が相続。

父親が相続放棄するかどうか決める前に死亡。子供が相続。

A：この場合、

①祖父が一次被相続人、父親が一次相続人（二次被相続人）

②子供が二次相続人

です。

祖父の死亡が一次相続、父親の死亡が二次相続となります。

３、相続人の対応

①一次相続と二次相続のどちらも単純承認：可能

②一次相続と二次相続のどちらも相続放棄：可能

③二次相続のみ承認、一次相続は放棄：可能

例えば父親のみ相続、祖父は相続しないで放棄、が出来る。

これに対し

④二次相続を放棄、一次相続のみ承認

二次相続を放棄したら一次相続の相続人としての地位もなくなるので、一次相続を承認出来なくなる為、認められない。

４、熟慮期間

「一次相続の相続人となったことを知ってから３カ月」以内であれば、一次被相続人の相続に関して相続放棄できる」

最高裁が令和元年８月９日に判示しました。

つまり、

㋐二次相続については二次被相続人の死亡を知ったときから３カ月

㋑一次相続については一次被相続人の死亡を知ったときから３カ月

でカウント。

その結果、一次相続と二次相続の熟慮期間は異なる可能性が発生します。