遺産分割協議に対する遺留分侵害額請求は可能? 

①「遺産分割協議」:亡くなった方が死亡時に有していた財産について、相続人間で権利者を確定することです。

②「遺留分」:

相続人に一定割合の遺産取得を保障する制度です。

遺留分に相当する財産を受け取ることができなかった人は、遺言や贈与で財産を取得した人に対して侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができます。

これを「遺留分侵害額請求」といいます。

㋐「遺産分割と遺留分減殺とは、その要件、効果を異にするから、遺産分割協議の申入れに、当然、遺留分減殺の意思表示が含まれているということはできない。

㋑しかし、被相続人の全財産が相続人の一部の者に遺贈された場合には、遺贈を受けなかった相続人が遺産の配分を求めるためには、法律上、遺留分減殺によるほかないのであるから、遺留分減殺請求権を有する相続人が、遺贈の効力を争うことなく、遺産分割協議の申入れをしたときは、特段の事情のない限り、その申入れには遺留分減殺の意思表示が含まれていると解するのが相当である。」

(最高裁平成10年6月11日)

つまり、㋑の要件に該当しなければ、原則として遺産分割協議の申入れをしても遺留分侵害額請求の意思表示をしたことにはならない。

2の判例の通り、両者は別制度です。

ただ、「遺留分侵害額請求権」は

㋐相続開始と遺留分侵害を知ってから1年

㋑相続開始から10年

で時効により消滅します。

令和6年4月1日から「相続登記の義務化」がスタートしましたが、遺産分割協議の際、「遺留分」について主張しておかないと、㋑の「相続開始から10年」の要件に引っかかり、時効により「遺留分侵害額請求権」を主張できなくなります。

「主張すること」が時効の中断になる。

勿論、実際に「請求権」を行使しなければ解決しませんけどね。

※相続登記の義務化:相続の開始を知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する義務

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山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
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