不動産の名義が亡くなった祖父のままの場合
1、相続人が数十人になることも
昔は「子沢山」の時代だったので、祖父の相続人がすでに亡くなっている場合、その亡くなっている相続人の相続人に権利が承継されることになります。
となると、関係する相続人の数が数十人になることも珍しいことではありません。
相続による不動産の名義変更は
①遺産分割協議への「相続人全員」の押印
②「相続人全員」の印鑑証明書
が求められるため、数十人の相続人がいた場合、その全員に相続手続きの協力のお願いをしなくてはなりません。
連絡先がわからない相続人については、戸籍の附票等を取得して現在の住所地を確認して手紙を出してお願いすることになりますが、数十人も相続人がいると住所不明で郵便が戻ってくる、非協力的で連絡しない、海外に在住している、などと、必ずしもスムースにいかない場合があります。
2、昭和56年以前に発生の相続は、相続人、法定相続分が違う
相続登記を祖父や曾祖父名義で放置していた際、注意すべきことは「昭和56年以前に発生の相続は、相続人、法定相続分が違う」です。
(1)明治31年7月16日~昭和22年5月2日に死亡
旧民法の「家督制度」が適用。
家督(家)を次ぐ者(原則として長男)が戸主に属する一切の権利義務を包括的に相続します。
つまり、亡くなった方に何人子供がいても、家の財産を相続する人は一人です。
(2)昭和22年5月3日~昭和22年12月31日に死亡
日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律(応急措置法)が適用。
家督相続が廃止。
現行民法と法定相続人の順位は同じですが、法定相続分は違います。
㋐第一順位:配偶者(1/3)と子(2/3)
㋑第二順位:配偶者(1/2)と父母(1/2)
㋒第三順位:配偶者(2/3)と兄弟姉妹(1/3)
なお、兄弟姉妹の直系卑属に対する代襲相続権は発生しません。
(3)昭和23年1月1日~昭和55年12月31日に死亡
(2)と法定相続人、法定相続分は同じです。
㋐第一順位:配偶者(1/3)と子(2/3)
㋑第二順位:配偶者(1/2)と父母(1/2)
㋒第三順位:配偶者(2/3)と兄弟姉妹(1/3)
なお、兄弟姉妹の直系卑属も代襲相続人となりました。
しかし、現在と異なり、代襲相続の制限がありませんので、甥姪よりも下の代でも相続人となる可能性があります。
(4)現在(昭和56年1月1日以降)
㋐第一順位:配偶者(1/2)と子(1/2)
㋑第二順位:配偶者(2/3)と父母(1/3)
㋒第三順位:配偶者(3/4)と兄弟姉妹(1/4)
なお、兄弟姉妹の代襲相続に制限が設けられました。
甥姪までが相続人となります。
投稿者プロフィール

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