遺留分侵害の判例

東京高裁平成30年10月19日判決

◎事例:

母親(A)、父親(X)、子供(B、C、D、E)

Xの死亡時、Aは子供Dに相続分を譲渡した。

その結果、Aの死亡時、プラスの財産より借金等のマイナスの財産の方が多くなってしまった。

そこで、別の子供(C)が、母親(A)が子(D)に相続分譲渡したのは、遺留分侵害にあたるのではないかと提訴

◎ポイント:

遺留分侵害に該当するなら、相続分譲渡分の財産もAの「相続財産」。マイナスよりプラスの方が多くなる

◎判決:

相続分の譲渡は、譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き、譲渡人から譲受人に対し経済的利益を合意によって移転するものということができる。

つまり、母親(A)からの相続分の譲渡は、母親(A)の贈与行為だと考えられるので、遺留分侵害に該当する。

※参考記事

公正証書遺言でも遺留分を請求できる

「遺留分」は、亡くなった方の兄弟姉妹以外の近しい関係にある法定相続人に最低限保障される遺産取得分です。 この権利は遺言によっても奪うことはできません。

遺留分の基礎となる財産

「遺留分を算定するための財産の価額」は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額とする(民法…

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