配偶者所有権が消滅するケース

「配偶者居住権」とは、亡くなった方が所有していた実家等の建物に、亡くなった人の配偶者が住み続けられる権利です。

従来、配偶者が相続によって実家の所有権を獲得しても、他の相続人とのバランス上、預貯金等の相続を諦めざるを得ませんでした。しかし、これでは、住む家は確保できても、生活するのに困ることになります。

「配偶者居住権」は「無償での住居の確保」と「バランスの良い遺産分割」の双方のバランスを考慮した制度といえます。

(1)登記により第三者に対抗できる

配偶者居住権は登記が義務づけられており(民法1031条)、登記によって第三者に対抗することができます。

(2)現金等を相続できる

配偶者居住権は所有権よりも価値が低いので、配偶者自身が預貯金などを相続しても、他の相続人とのバランスを崩すことがない

(3)賃料を支払う必要がなく、引き続き住み続けることができる

㋐配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とする。

㋑ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによる(民法第1030条)

つまり、

㋐存続期間に定めがなければ配偶者が死亡するまで

㋑存続期間を定めた場合、その期間満了をもって

配偶者居住権は消滅します。

(1)配偶者が建物の所有権を取得

このような場合、配偶者所有権を存続させる意味が失われるため、消滅します。

(2)配偶者が放棄

例えば、老人ホームに入所するなど、建物に居住する必要がなくなった場合、配偶者が配偶者所有権を放棄すると消滅します。

(3)建物の所有者からの消滅請求

㋐配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用及び収益をしなければならない

(民法第1032条1項)

㋑配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができない

(同条3項)

㋒配偶者が第1項又は前項の規定に違反した場合において、居住建物の所有者が相当の期間を定めてその是正の催告をし、その期間内に是正がされないときは、居住建物の所有者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者居住権を消滅させることができる

(同条4項)

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山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
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