家族信託の信託口口座
家族信託後、口座で金銭を管理するには
信託用の口座を開設することにより、受託者の個人財産と分別することができ、信託された金銭が受託者個人の財産ではなく信託財産であることを第三者に対して主張できるようになります。
金銭を管理する口座は下記「信託口口座」「信託専用口座」の2種類があります。
2、信託口口座
「信託口口座」とは、信託法に基づき、受託者が、委託者から信託された金銭を管理するための口座です。
信託された財産は、信託法上、受託者が死亡したとしても受託者の相続人へ相続されません。
また、受託者個人の債務の滞納、受託者個人が破産した場合でも、信託された金銭に対して差し押え等、強制執行の対象となりません。
このような信託法の規定に則り、金融機関において特別に用意、開設された口座が信託口口座です。
①口座名義
口座名義については、例えば
㋐「委託者○○受託者△△信託口」
㋑「○○信託受託者○○」
等、一般的な普通口座の口座名義と異なり、委託者と受託者の連名での名義となります。
受託者の死亡や破産、差し押え等により口座が凍結されないよう、受託者個人口座と区分されている口座である必要があります。
これにより、信託財産であることが対外的に明確になります。
②注意点
一般的に信託口口座を開設するための条件が厳しいです。
具体的に列挙すると
㋐信託契約書は公正証書による
㋑信託契約書は弁護士、司法書士等、専門家によって作成されたものであることを要する
㋒ある程度、一定以上の金融資産を預け入れる
㋓信託代理人、受益者代理人を設置している
㋔受託者の後継者の定めがある
3、信託専用口座
「信託専用口座」とは、信託した金銭を管理する受託者個人名義の普通口座をいいます。
①趣旨
信託法に則った「信託口口座」が作成できるのが一番よいのですが、まだまだ信託口口座開設に対応できる金融機関が少なく、かつ、開設にあたってハードルが高いです。
そこで、信託口口座の代替手段として受託者個人名義の新たな普通口座を開設、信託契約書にその口座の口座番号を明記して実務的に代用することがあります。
信託契約書で口座番号、口座名義人等の情報を明示、受託者名義の個人口座は信託財産であることを明確にしています。
例:
委託者は、信託金融資産について、受託者名義の信託専用口座(〇〇銀行〇〇支店・店番123・普通・口座番号123456・口座名義人甲府太郎)への移動等を行う。
受託者はこの信託専用口座において、信託財産の適切な管理を行う。
②メリット
㋐信託契約書に口座情報を記載することによって、信託財産であることを対外的に明確にできる
㋑普通口座の開設なので、金融機関の審査が不要
③ディメリット
㋐受託者が先に死亡した場合に凍結される可能性がある
㋑受託者が破産、差押えされた場合、口座も差し押さえられる
4、信託口口座開設の手続き
(1)信託口口座開設可能な金融機関の選定
↓
(2)金融機関の審査
↓
(3)信託口口座開設後、委託者の個人口座から信託財産として定めた金額を出金して、信託口口座へ入金
投稿者プロフィール
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相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、民泊、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行
山梨県甲府市の行政書士です。
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