[事例]熟年再婚する際、遺言書の作成を
1、事例
㋐夫の父親。母親既に死亡。子供は1人(夫)のみ。
㋑数か月前、結婚相談所で知り合った女性と再婚。
㋒女性も再婚で前夫との間に子供がいる。
㋓夫の父親死亡。相続人は夫と再婚相手の女性。法定相続分は各1/2。
㋔相続財産:実家、預貯金
2、遺言書を残さないと…
夫の父親が遺言書を残していないと、夫と再婚相手の女性との遺産分割協議となります。
多くの場合「熟年再婚」は子供(夫)にとって「寝耳に水」であり、相続の面でも感情的な面でも歓迎できることではないでしょう。
遺産分割協議を円満にまとまるのは困難なケースが多いことが予想されます。
さらに、再婚相手の女性が、あれこれ思うところがあるでしょうから、横から口出ししてくる可能性があります。
まずますまとまらない要因になることでしょう。
3、遺言書を残しましょう
夫の父親が遺言書を残せば、父親の子供(夫)と再婚相手の女性との遺産分割協議が不要となります。
それも公正証書遺言のほうが、公証人の下で作成する点で法的な証明力が高く、偽造、改ざんのリスクがないので有用です。
さらに公正証書遺言にて遺言執行者を指定しておいたほうが、相続手続きをスムーズに進めることができます。
4、それでも問題点が:実家を再婚相手に相続させる
夫の父親が遺言書を残したとしても、それだけで問題点がすべて解消されるわけではありません。
仮に遺言書で「再婚した女性に実家を相続させる」旨記載があれば、実家は彼女のものに。
そして、彼女が死亡すれば、彼女と夫が養子縁組していなければ、夫は相続人ではないので、実家は彼女の子供が相続することになります。
つまり、実家は血が繋がっていない方のものになってしまいます。
5、それでも問題点が:再婚相手に「配偶者居住権」を遺贈させる
また、夫の父親が遺言書にて「実家は息子(夫)に相続させる」「再婚相手に配偶者居住権を遺贈させる」旨、記載することも考えられます。
配偶者居住権は原則として終身存続するため(民法1030条1項)、再婚相手の女性は死ぬまで、無償で家に住み続けることが可能となります。
夫の気持ちはいかに…。
6、対策
財産分けにおいてどのような内容の遺言書を残すかについては、遺留分の問題はあるとしても基本遺言者の自由です。
なので、熟年再婚が成立した時点で、家族同士よく話し合い、遺言書を残す。その際、再婚相手の女性には遺留分を放棄してもらう、まで話し合いが成立すれば、相続対策としては十分でしょう。
また、少々遠回りな方法ですが、再婚相手の女性と夫が養子縁組をすれば、再婚相手の女性が亡くなると夫も相続人となります。
将来の相続トラブルが不安な方は是非弁護士にご相談を。
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投稿者プロフィール

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相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行
山梨県甲府市の行政書士です。
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