[事例]熟年再婚する際、遺言書の作成を

㋐夫の父親。母親既に死亡。子供は1人(夫)のみ。

㋑数か月前、結婚相談所で知り合った女性と再婚。

㋒女性も再婚で前夫との間に子供がいる。

㋓夫の父親死亡。相続人は夫と再婚相手の女性。法定相続分は各1/2。

㋔相続財産:実家、預貯金

夫の父親が遺言書を残していないと、夫と再婚相手の女性との遺産分割協議となります。

多くの場合「熟年再婚」は子供(夫)にとって「寝耳に水」であり、相続の面でも感情的な面でも歓迎できることではないでしょう。

遺産分割協議を円満にまとまるのは困難なケースが多いことが予想されます。

さらに、再婚相手の女性が、あれこれ思うところがあるでしょうから、横から口出ししてくる可能性があります。

まずますまとまらない要因になることでしょう。

夫の父親が遺言書を残せば、父親の子供(夫)と再婚相手の女性との遺産分割協議が不要となります。

それも公正証書遺言のほうが、公証人の下で作成する点で法的な証明力が高く、偽造、改ざんのリスクがないので有用です。

さらに公正証書遺言にて遺言執行者を指定しておいたほうが、相続手続きをスムーズに進めることができます。

夫の父親が遺言書を残したとしても、それだけで問題点がすべて解消されるわけではありません。

仮に遺言書で「再婚した女性に実家を相続させる」旨記載があれば、実家は彼女のものに。

そして、彼女が死亡すれば、彼女と夫が養子縁組していなければ、夫は相続人ではないので、実家は彼女の子供が相続することになります。

つまり、実家は血が繋がっていない方のものになってしまいます。

また、夫の父親が遺言書にて「実家は息子(夫)に相続させる」「再婚相手に配偶者居住権を遺贈させる」旨、記載することも考えられます。

配偶者居住権は原則として終身存続するため(民法1030条1項)、再婚相手の女性は死ぬまで、無償で家に住み続けることが可能となります。

夫の気持ちはいかに…。

財産分けにおいてどのような内容の遺言書を残すかについては、遺留分の問題はあるとしても基本遺言者の自由です。

なので、熟年再婚が成立した時点で、家族同士よく話し合い、遺言書を残す。その際、再婚相手の女性には遺留分を放棄してもらう、まで話し合いが成立すれば、相続対策としては十分でしょう。

また、少々遠回りな方法ですが、再婚相手の女性と夫が養子縁組をすれば、再婚相手の女性が亡くなると夫も相続人となります。

将来の相続トラブルが不安な方は是非弁護士にご相談を。

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公正証書遺言

(1)必要なもの ①依頼者(遺言者)の印鑑登録証明書

配偶者居住権

「配偶者居住権」とは、亡くなった人が所有していた実家等の建物に、亡くなった人の配偶者が住み続けられる権利。

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山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
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相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行

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