[事例]アパートオーナーの「相続」対策
1、事例
◎事例
㋐父親はアパートのオーナー。長女と二人暮らし(配偶者は既に死亡)
㋑子供は長男、次男、長女
㋒父親死亡。相続人は長男、次男、長女
㋓相続財産:アパート(相続税評価額1000万円)の他は預貯金(3500万円)のみ。
㋔相続税の基礎控除分は3000万円×(600万円×法定相続人の数(3人)=4800万円なので相続税は0円。
㋕しかし、父親が遺言書を残していなかったので、子供3人で遺産分割協議を行ったものの、意見がまとまらず、調停、審判に持ち込まれてしまった。
2、父親はどうすればよかったのか?
(1)遺言書の作成
例えば
㋐長女にアパート+預貯金500万円
㋑長男、次男:預貯金各1500万円
相続させる旨の遺言書を作成しておけば、子供3人全員の同意がない限り、遺産分割協議なしで遺言書通りの財産分けになる。
アパートの共有を避けたいなら、尚の事遺言書を残すべきだった。
(2)家族信託
㋐委託者&受益者:父親
㋑受託者:長女
㋒信託財産:アパート
㋓信託終了事由:父親の死亡
㋔帰属権利者:長女
仮に父親が認知症などでアパート経営ができなくなっても、家族信託契約を締結しておけば、受託者である長女が不動産および家賃収入を管理し、受益者に分配させることができます。
家族信託+遺言書の組み合わせで父親の老後と死後は安心です。
なお、上の事例ですと兄弟3人公平に財産分けできましたが、アパートの相続税評価額が預貯金より遥かに大きいと、相続税がかかる問題の他、
①代償分割:
長女がアパートを相続する代償として長男、次男に代償金を支払う
②換価分割
アパートを売却、得られた売却金を3人で分配する
などが問題となります。
①についてですが、対策として
㋐「代償分割」旨の遺言書作成
㋑代償金の支払いに充てるため、長女を受取人とする生命保険契約の締結。
などを挙げることができます。
②ですが、アパートを売却することにより「譲渡所得税」が発生する点に注意が必要です。
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投稿者プロフィール

- 行政書士
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相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行
山梨県甲府市の行政書士です。
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