相続人の中に認知症の方がいる。成年後見制度の利用?

遺産相続手続きを進めるにあたっては、原則として相続人全員による遺産分割協議が必要になります。

しかし、相続人の中に認知症等によって意思能力が無い方がいる場合は、そのままでは遺産分割協議を進めることはできません。

仮に、意思能力のない方が遺産分割協議に参加、分割協議書に署名押印したとしても、その協議は無効です

相続人の中に認知症で意思能力が無い方がいる場合、手続きを進めるにはは、本人のために家庭裁判所に後見開始の申立てを行い、成年後見人を選任してもらうという方法があります。

選任された後見人は、本人に代わって遺産分割協議に参加。遺産分割協議書に署名押印することになります。

(1)申し立ての際「遺産目録」の提出が必要

相続によって本人が取得する予定の財産も、本人の財産の一部であると考えられるため、家庭裁判所への申立ての際は、本人の財産目録の他に「遺産目録」についても提出を求められます。

(2)必ずしも希望通りの者(親族)が後見人になるとは限らない

(3)専門家が後見人に就任すると報酬が発生する

(4)遺産分割協議では本人の法定相続分を確保しなければならない

成年後見制度は本人と本人の財産の保護を目的とする制度であるため。

つまり、必ずしも各相続人の希望通りの分割になるとは限らない。

(5)後見人が親族で、かつ相続人である場合、「特別代理人」の選任が必要となる

後見人の親族も相続人である場合、本人と後見人の利害が対立(利益相反)するため、後見人が本人を代理して遺産分割協議を行うことはできません。

この場合、特別代理人を家庭裁判所に選任してもらう必要があります。

申立ての際には家庭裁判所に本人の法定相続分を確保した「遺産分割案」を提出。

なお、後見監督人がいる場合は、後見人の代わりに後見監督人が遺産分割協議に参加するので特別代理人は不要です。

上に書いた通り、成年後見制度を利用すると、皮肉な事に自由な遺産分割ができなくなる結果となります。

また、被後見人が亡くなるまで専門家に対する報酬が発生するのも金銭的にかなり痛い。

なので、目の前の「遺産分割協議」を成立するだけのために成年後見制度を利用するのは、慎重に考えてからの方がよいです。

(1)生前に遺言書を残しておく

遺言書があれば遺産分割協議は不要。成年後見制度も使わなくて済みます。

(2)法定相続分で遺産分割する

法定相続分による遺産分割であれば協議書の作成は不要。成年後見制度も使わなくて済みます。

ただ、

㋐「小規模宅地等の特例」

亡くなった人が自宅として使っていた土地を、配偶者か、亡くなった方と同居していた親族が相続した場合、土地の評価額を8割引きできる制度

㋑配偶者控除

配偶者が相続した遺産のうち、課税対象となるものが1億6千万円までであれば相続税が課税されない制度

を使うには、遺言書もしくは遺産分割協議書の提出が必要です。

非常に節税の効果が大きいので、成年後見制度を利用することで使えるメリットと利用しないことで使えないディメリットを考慮する必要があります。

また、法定相続分で遺産分割すると不動産を共有状態で相続することになりますが、

①共有名義人が亡くなるたび権利関係者が増える

②活用、売却が難しくなる

などのディメリットがあります。

(3)遺産分割協議の前に「意思能力に問題なし」旨の医師の診断書を取っておく

認知症といってもそれぞれ症状が異なります。

個別に判断するしかありません。

医師の診断書があれば後々のトラブルを回避することができます。

成年後見制度を利用する必要もありません。

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相続人の中に認知症の方がいる場合の遺産分割協議

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成年後見の申し立て

◎申し立てをすることができる方 本人、配偶者、四親等内の親族、市町村長、検察官等

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