事実婚(内縁関係)のメリット、ディメリット

「事実婚」とは、婚姻の意思があり、夫婦として共同生活を送っているが、婚姻届を役所に提出していない状態をいいます。

法律婚との違いは「婚姻届を提出したかどうか」です。

(1)改姓不要

将来は分かりませんが、現在は日本の法律婚で夫と妻が別々の姓を名乗る「夫婦別姓」は認められていません。

事実婚ですと、自分の姓を変える必要がないので、免許証や銀行口座などの名義変更をする手間がなくなります。

(2)関係を解消したとしても戸籍に残らない

法律婚をですと、夫婦が離婚すると、「バツイチ」の言葉にあるように、以前は戸籍に大きな「×」がつきました。

今は「×」はつかなくなりましたが「離婚」した旨の記載は残ります。

これに対し、事実婚だと、婚姻関係が戸籍に残らないので、事実婚を解消したとしても戸籍に記録は残りません。

(1)相続権がない

事実婚は法律婚のように自動的に相続権が付与されません。

たとえ二人の子供がいたとしても、認知されていなければ、パートナーだけでなく子供も相続できません。

遺産を相続できるようにするためには、遺言書を作成しておくことが必要です。

(2)配偶者控除など税制の控除を受けることができない

ただし、

①事実婚の関係であること

②生計を同一にしていること

を証明すれば、国民年金の第3号被保険者になるのは可能です。

(3)夫婦関係の証明が難しい

事実婚の証明ですが、法律婚では、住民票の続柄に世帯主には「世帯主」、世帯主ではない欄に「夫/妻」と記載されるのに対し、事実婚の住民票の続柄にはそれぞれ「世帯主」と「夫(未届)/妻(未届)」 と記載されるので、住民票が証明となります。

しかし、例えば、パートナーの緊急入院時に住民票を取り寄せないと、主治医からの説明を聞くことができない、手術同意書へサインすることができない、などの不都合が生じることもあります。

(1)内縁関係(事実婚)に関する契約書を作成しておく

内容は

①二人が事実婚の夫婦であること

②夫婦としての責務

③子供に関すること

④財産に関すること

などです。

後々のトラブル防止のために公正証書にしておくとよいでしょう。

(2)子供の認知

事実婚の場合、子供が生まれたとしても父と子の親子関係が成立せず、子供の戸籍の父親欄が空欄となります。

事前に「子供が生まれたら認知する」など、話し合っておきましょう。

(3)遺言書の作成

事実婚の場合は相続権がないため、もし突然パートナーが亡くなった場合、残された側の生活が立ち行かなくなる可能性があります。

万が一のときのために、お互い遺言書を用意しておきましょう。

(4)医療同意

手術などの医療行為を実施する場合は、必ず患者本人から同意を得なければなりませんが、意識不明や昏睡状態など、患者が自らの意思を伝えることができない場合もあります。

その際、代わりに治療方針や緊急手術の承諾を行うことができる権利を「医療同意」といいます。

「医療同意」は通常、配偶者や直系血族(両親、子供など)にあります。

しかし、内縁のパートナーに医療同意権を委任する「委任契約書」を公正証書で作成しておけば、住民票などで内縁関係であることを証明した上で、例えば、法律上の親族とは疎遠で内縁のパートナーと共同生活を送っている事実がある等、内縁のパートナーの意思の方を尊重する事情がある場合に同意権を認めてもらいやすくなります。

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山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
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