空き地に勝手に車を止める行為は?
1、不動産侵奪罪は成立しない
「侵奪」とは、不動産に対する他人の占有を排除して自己または第三者の占有を設定することをいいます。
「占有」とは、物に対する事実的支配をいいます。
「不動産侵奪罪」(刑法第235条の2,法定刑:10年以下の懲役)においては、その不動産に住む、倉庫を建てるといった行為はもちろん、本来の所有者が自由に使用できない状況にすれば占有に対する侵奪があったものと解釈されます。
では、空き地に勝手に車を止めたら?。
この場合、車を移動させれば占有侵害の状態が容易に解消されるため、不動産侵奪罪は成立しないとされています。
空き地に「立入禁止」旨の看板、囲いがなければ、建造物侵入罪も成立しません。
土地所有者が本来の使用法をできなかったために損害が生じた点で、民法の不法行為責任(第709条)が成立します。
2、裁判例
撤去が容易な簡易建物を無断で構築し、撤去要求に従わなかったケースで、「容易に倒壊しない構造で、土地の有効利用が阻害されていたうえに、相当期間にわたる退去要求にも従わなかったので占有侵害の態様は高度である」と示し、不動産侵奪罪の成立を認めた
(最高裁平成12年12月15日)
この判決を応用すれば「長時間空き地に無断駐車されたら不動産侵奪罪が成立する」と判事してもよいと思いますが、刑法で禁止されている「類推解釈の禁止」になるので難しいか。
新たな立法求む。
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