財産管理委任契約を認めていない金融機関が多い
1、財産管理委任契約
「財産管理委任契約」とは本人の判断能力のある間の財産管理に関して委任する契約のことをいいます。
任意後見人が実際に後見事務を開始できるのは、本人の判断能力が低下して任意後見監督人が選任されてからです。
なので、契約締結後、実際に判断能力が低下するまでの期間は、空白期間となります。
そこで、任意後見契約と組み合わせて「財産管理委任契約」を締結することがあります。
つまり、契約の締結後すぐに「財産管理委任契約」が発効。
その後本人の判断能力が低下して任意後見監督人が選任された時点で任意後見契約へと移行する形態です。
このような契約形態を「移行型」といいます。
任意後見契約とともに財産管理契約を締結する場合、「財産管理委任契約」も公正証書で締結することが一般的です。
他方、「財産管理委任契約」のみを単体で契約する場合、必ずしも公正証書である必要はありません。
2、財産管理委任契約の問題点
(1)特定の監督機関が無い
「財産管理委任契約」は、民間人同士が行う契約です。
契約の履行状況を監督する公的な機関はありません。
なので、財産管理を委託された側の行為(横領など)をチェックすることが難しい点が問題です。
(2)契約の取消ができない
財産管理委任契約は、受任者は委任者を代理して契約に定められた事項を行うものです。
法定後見制度のような契約の取消権は認められていません。
3、財産管理委任契約を認めていない金融機関が多い
残念ながら、たとえ正式な「財産管理委任契約書」があっても、代理人として、預貯金の引出しなどの手続きを行うことを認めていない金融機関が多いです。
そのため、財産管理委任契約書を作成する前に、金融機関に「財産管理等委任契約で代理人が口座管理することが可能なのか?」を確認したほうがよいです。
金融機関によっては、金融機関それぞれの「代理人制度」の利用を勧めてくる場合もあります。
例えば、
㋐三菱UFJ銀行ですと「予約型代理人」
㋑三井住友銀行ですと「代理人指名手続き」
㋒みずほ銀行だと「代理人カード」という名称のようです。
三井住友銀行、みずほ銀行ですと、代理人カードが発行されます。
ただし、「代理人制度」は、親族が代理人になる場合を想定していますので、親族以外の方が代理人になるのは難しい点はご留意ください。
※参考:「三菱UFJ銀行「予約型代理人」サービス」
※参考:「三井住友銀行「代理人氏名手続き」
※参考:「みずほ銀行「代理人カード」
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