シングルマザー亡き後、元夫に財産を勝手にされないためには：遺言信託

１、未成年後見

シングルマザーにとって一番不安なことの一つに「自分が突然死んじゃったらこの子はどうなるんだろう？」があります。

相続を含めた対策の一つに「未成年後見」があります。

「未成年後見」とは、親のいない、もしくは親権を行使できない未成年者のために、原則として家庭裁判所の監督のもとに、未成年者の身上と財産の保護を目的とする制度をいいます（民法第８３８条）。

ここでいう「親権を行使できない」には、

㋐単独の親権者が後見開始の審判を受けている

㋑後見開始の審判はまだされていないが、認知症等精神上の障害によって事理を弁識する能力を欠く常況にある

も含まれます。

２、必ずしも「未成年後見人の選任を指定すれば元夫は手を出せない」、ではない

シングルマザーが自分が亡き後の親代わりとして未成年後見人を遺言書で指定しておけばそれで安心。元夫は何も手が出せないか、と言えば、必ずしもそうとはいえません。

シングルマザー死亡後、元夫が家庭裁判所に「親権者の変更」を申し立て。家庭裁判所が未成年後見人で指定された人が養育するよりも、元夫が養育した方が、子供にとってより望ましいと判断した場合、元夫に親権を奪われてしまうこともあります。

３、遺言信託

そこで「遺言信託」です。

遺言による信託（遺言信託）とは、遺言書によって設定される信託のことをいいます。

遺言信託を設定しておけば、未成年の子供に対する財産承継だけでなく、シングルマザー死後の財産管理まで任せることができます。

こうしておけば、仮に元夫の家庭裁判所の申し立てにより元夫の親権が復活したとしても、元夫はシングルマザーの遺産には手を出せないことになります。

なお、管理する方は、未成年後見人として選んだ人と同じ方でも別の方でも大丈夫です。

３、遺言信託の特徴、設定できること

①遺言なので、効力が発生するのは遺言者の死後からとなります。

②財産を管理する周期を、例えば「子供が成人するまで」と設定できます。

③管理する期間中の学費、生活費は元夫を経由しないで直接子供に渡すことができます。

④管理期間終了後は、残余財産を直接子供に帰属させることができます。

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