[事例]妻が認知症。遺言書を作成しないと…
1、事例
㋐相談者父親。妻が認知症のため、万が一のために遺言書の作成を検討したい。
㋑子供は2人(長男と次男)。2人とも結婚。子供がいて独立している。多忙のため、妻に対する協力は期待できない。
2、遺言書を作成しないと…
相談者である父親が遺言書を作成しないまま亡くなると、相続人である妻、長男、次男の3名による遺産分割協議により、どのように財産を相続するか決める必要がありますが、妻が認知症ですと、家庭裁判所に成年後見の申し立て。選任された成年後見人が妻の代わりに遺産分割協議に参加することになります。
しかし、成年後見制度は
①家族が親族の就任を希望しても、必ずしも希望が叶うとは限らない
②専門家が就任した場合、毎月ある程度の費用(報酬)がかかる
③一度利用すると死亡するまで止めることができない
④本人の利益を守る見地から法定相続分を主張してくる
など、使い勝手が悪い所がいくつかあります。
「成年後見制度」の利用は「義務」ではありません。
利用したければいつでも家庭裁判所に利用の申立てはできるので、できれば他に選択がない場合の「最後の手段」としてとっておきたいものです。
使わないで済むに越したことはありあせん。
3、遺言書を残す
認知症の妻が心配なら、遺言書を残しておくことです。
遺言書を残しておけば、原則遺産分割協議は必要ありません。
妻のために成年後見制度を利用する必要もありません。
公正証書遺言にして遺言執行者を指定しておけば、より安心に相続手続きを進めることができます。
4、父親の死後も成年後見制度の利用を避けるには
父親の死後、相続手続きが無事終了したとしても、日常生活をはじめ、妻のことが心配なのは自然の情でしょう。
まして、頼りになるはずの長男、次男が多忙なら猶更の事。
それでも成年後見制度を利用しなくて済みます。
(1)身上監護
介護施設への入居契約、病院での入院手続きなど。
わざわざ成年後見人を付けなくても、家族などが付き添えば大丈夫です。
(2)介護保険契約・障害福祉サービス利用契約
(1)と同じく、家族が代わって契約書に署名・押印(おういん)をすれば大丈夫です。
5、まとめ
仮に認知症の妻より子供(長男、次男)が先に亡くなっても、2人とも配偶者、子供がいるので、認知症の妻は相続人ではありません。
認知症の妻が子供より先に亡くなれば、相続人は長男と次男。何の心配もない。
上にも書いた通り、成年後見制度の利用には様々な弊害があります。
くれぐれも利用は慎重に。
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投稿者プロフィール

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相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行
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