離婚後も苗字を変えない場合

離婚した妻が結婚時の姓を名乗り続けるには、市区町村役場に「離婚の際に称していた氏を称する届(婚氏続称届)を提出すれば離婚後も結婚時の苗字を名乗り続けることができます。

「離婚の際に称していた氏を称する届」(婚氏続称届)ですが、離婚届と一緒に提出するのが一般的です。

婚姻届の提出は新たな筆頭者を決めて筆頭者でない人が同一の戸籍に入るための手続きです。

一般的には、筆頭者は夫である男性の名前を、筆頭者でない人の名前は女性の名前を書きます。

その後、夫婦が離婚となった場合、筆頭者ではない妻が夫の戸籍から離れます。

これは、離婚後の苗字を変えても変えなくても同じです。

離婚後に苗字を変えたくない場合、自分を筆頭者とした新たな戸籍を作り直す必要があります。

離婚する夫婦の間に子供がいる場合、子どもの苗字をどうするか決めなければなりませんが、親が離婚すると、まずは子供の苗字は筆頭者である父親と同じ苗字のままとなります。

これは親権、同居の有無は関係ありません。

たとえ、親権者が母親で、母親と同居していても戸籍は父親と同一なので、苗字も父親と同じです。

筆頭者ではない母親が離婚後も結婚時の苗字を名乗るためには「離婚の際に称していた氏を称する届」(婚氏続称届)を提出する必要がありますが、その結果、子供と同じ苗字になり、事情を知らない者からしたら離婚しても何も変わらないことになります。

なお、「離婚の際に称していた氏を称する届」(婚氏続称届)を提出しても、子供のの戸籍は父親のもとに残ったままです。

また、親が「婚氏続称届」をした場合でも、「婚姻中の氏」と「続称の手続をとった氏」は、法律上、別の氏とされます。

呼び方は同じであってもその親と子の氏は異なることになります。

なので、子供を母親の戸籍に入れるためには、家庭裁判所に「子の氏の変更許可(民法第791条)」を申し立て、子供の氏を自分の氏と同じにする必要があります。

そして、氏の変更後、市区町村役場に入籍届を提出することで戸籍変更ができます。

(1)子供への影響

苗字が変わらなければ、事情を知らない者からしたら離婚したかどうか分かりません。

(2)手続きの煩雑さを避ける

苗字が変わると職場から、クレジットカード、銀行口座、パスポートなどまで名義変更が必要となります。

その点、苗字を変えなければ「離婚の際に称していた氏を称する届」(婚氏続称届)を提出するだけで済みます。

(3)再婚を考えている

名義変更に手間がかかるなら、苗字を変えないまま、再婚時に名義変更すれば、1回で済みます。

㋐「韮崎花子」さんが一度目の結婚で甲府太郎さんと結婚し「甲府花子」さんになりました。

㋑その後、離婚した場合、花子さんは本来旧姓の「韮崎」に戻るはずですが、婚氏続称届を提出。離婚後も「甲府花子」を名乗り続けました。

㋒その後、笛吹次郎さんと再婚した甲府さんは「笛吹花子」と名乗っていましたが、再び離婚しました。

この場合、花子さんは旧姓である「韮崎」に戻ることができません。

離婚後も婚氏続称届を提出して「笛吹」を名乗り続けるか、結婚前の苗字である「甲府」にするかのいずれかになります。

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