生前事務委任契約

生前事務委任契約」とは、自身の身体機能の低下(例:体力的に役所、銀行に行くのが辛いなど)に備え、まだ体力に余裕のあるうちに日常生活の支援を委任する契約です。

内容は「任意後見契約」に似ていますが、契約が発動する場面が違います。

任意後見契約は、将来認知症などで判断能力が低下した場合に備え、予め「任意後見人」を選任することにより、財産管理、身上監護を依頼します。

これに対し「生前事務委任契約」は、判断能力が低下する前(「任意後見契約」が発動する前)の財産管理、身上監護を依頼するものです。

また、「財産管理委任契約」とは、契約が発動する場面は同じですが、契約の内容が違います。

「財産管理委任契約」は、本人の判断能力のある間の財産管理に関して委任する契約をいいます。

これに対し、「生前事務委任契約」は財産管理のみならず、身上監護も契約の内容とします。

(1)財産管理

①財産の維持、管理

②銀行など金融機関の口座の入金、出金

③年金の受取

④不動産収入(家賃など)の受取り

⑤賃貸住宅の入居手続き

⑥賃貸住宅の家賃の支払い

⑦公共料金の支払い

⑧役所への手続きの代行

など

(2)身上監護

①病院の入院や退院の手続き、支払い

②施設への入所手続き

③介護保険、福祉サービスの利用の付き添い、管理

④要介護認定、介護サービスの利用手続きなど

(1)メリット

①身体機能の低下をカバーできる

②「財産管理委任契約」でカバーできない「身上監護」についても締結できる

㋐家族、親族がいても、遠方に住んでいて頼ることが難しい

㋑所謂「おひとり様」で身体機能の低下について頼る人がいない

方は「生前事務委任契約」の締結をご検討下さい。

(2)ディメリット

①「財産管理委任契約」と同様、銀行など金融機関によっては、代理人として、預貯金の引出しなどの手続きを行うことを認めてくれない。

※参考:「三菱UFJ銀行「予約型代理人」サービス

※参考:「三井住友銀行「代理人氏名手続き

※参考:「みずほ銀行「代理人カード

②①において、親族など適任者がいない場合、その都度「委任状」が必要になる場合がある。

金融機関によっては「代理人制度」の利用を勧めてくる場合もあります。

ただし、申し込みの要件として「2親等内の親族」などがあることはご留意ください。

このように、「生前事務委任契約」は契約の効力としては弱いので、「任意後見契約」とセットで締結することをお勧めします。

(1)契約は公正証書に

公証人が間に入って作成する公正証書の方が、証明性、有効性が高いです。

(2)本当に信頼出来る人と契約する

さもないと勝手な横領など、重大な被害が発生するリスクがあります。

適任者がいない場合、弁護士、司法書士、行政書士など専門家への依頼をご検討ください。

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財産管理委任契約

「財産管理契約」とは本人の判断能力のある間の財産管理に関して委任する契約。

任意後見契約

「任意後見契約」とは、将来認知症などで判断能力が低下した場合に備えて、予め「任意後見人」を選任することを内容とする契約です。

財産管理委任契約を認めていない金融機関が多い

「財産管理委任契約」とは本人の判断能力のある間の財産管理に関して委任する契約のことをいいます。

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山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
◎主な業務内容:
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