家族信託で受託者が先に死亡したら

受託者が死亡しても、原則として信託契約は終了しません。

また、受託者の地位は、相続によって承継されません。

受託者の相続人は、受益者に受託者が死亡したことを知らせたり、新しい受託者に信託事務の引き継ぎをしたりする義務を負うことになります(信託法第60条)。

家族信託では、信託契約の内容として、受託者が死亡した場合に備えて新受託者(予備的受託者)を指定しておくことができます。

相続人は指定された新受託者に信託事務を引き継ぎます。

信託契約で新受託者の指定がない場合、新たに受託者を選任する必要があります。

委託者と受益者の協議によっても合意ができない場合には、新受託者を裁判所に選任してもらうこともできます。

信託の終了事由に「受託者の死亡」を定めた場合、受託者の死亡によって信託契約は終了します。

また、受託者の死亡後に、新受託者が指定されない状況が1年間続くと信託契約は終了してしまいます。

(1)不動産登記の名義変更

新受託者が所有権移転登記手続きをすると、信託登記の受託者の欄は登記官が職権で変更してくれます。

また、家族信託を開始する際の、委託者から受託者への所有権移転登記は登録免許税はかかりませんが、受託者から新受託者への所有権移転登記も同じくかかりません。

(2)預貯金等の引き継ぎ

信託口座の預貯金については、自身が新受託者であることの証明書類を銀行に提出することによって引き継ぎます。

その際、新受託者名義の口座への送金が必要です。

上にも書いた通り、受託者の死亡後に、新受託者が指定されない状況が1年間続くと信託契約は終了してしまいます。

信託契約では、受託者が死亡した場合の第二受託者(予備的受託者)を事前に決めて、契約の内容としておくことができます。

これによって、受託者が死亡しても、受託者の地位をスムーズに引き継ぐことができます。

※関連記事

家族信託

「家族信託」は、所有権を「財産権(財産から利益を受ける権利)」と「財産を管理運用処分できる権利」とに分けて、後者だけを子供等に渡すことができる契約です。

Follow me!

投稿者プロフィール

山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
◎主な業務内容:
相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、民泊、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行

山梨県甲府市の行政書士です。
高齢化社会を元気に生きる社会に。
体の不自由なお年寄りが安心して生活出来る社会を作りたい、
困っている方の力になりたい。
皆で応援し、安心して暮らせる社会を作りたい。
そんな願いを胸に日々仕事に従事しています。

当事務所への「お問い合わせ欄」は「こちら」

お気軽にご相談下さい。