［事例］予備的遺言と遺言執行者の選任

１、事例

相談者：次女（６８歳：独身。子供がいない）

㋐３人兄弟（長男、長女（８０歳：子供が１人（息子）いる）、次女）で、両親と長男は既に他界。

㋑亡くなった長男には、子供が３人（３０歳、２７歳、２４歳）いる。

㋒次女としては、いつも仲の良い長女に全財産をあげたいと考えている。

㋓仮に次女が亡くなると、推定相続人は長男の子供３人と長女の合計４人。

㋔長男の子供が相続放棄してくれればよいが、それは分からない。

２、今回の懸念事項

（１）長女が８０歳と高齢。仮に「長女に全財産を相続させる」旨遺言書を残したとしても、長女の方が次女より先に亡くなる可能性がある。そうなると当該遺言書は無効となってしまう。

（２）遺言を実現する遺言執行者がいた方が、次女の希望である「長女に全財産を相続させる」旨の願いを叶え易い。

３、解決策

（１）次女より長女が先に死亡した場合に備え、「先に長女が死亡したら長女の子供に全財産を相続させる」旨の遺言書を作成しておく（予備的遺言）

１　遺言者は、遺言者の有する一切の財産を遺言者の長女○○○○（昭和○年○月○日生）に相続させる。

２　遺言者は、遺言者の死亡以前に長女○○が死亡した場合、遺言者の有する一切の財産を長女の長男である孫の○○○○（平成○年○月○日生）に包括遺贈する。

（２）遺言書にて、弁護士、司法書士、行政書士など、専門家を遺言執行者をに指定しておく。

第○条　遺言執行者の指定

　本遺言の遺言執行者として次の者を指定する。

　　住　　所　山梨県甲府市北口１丁目１番１号

　　職　　業　司法書士　

　　氏　　名　法務忠成

　　生年月日　昭和３３年３月３日

　　

　　住　　所　山梨県甲府市中央１丁目１番１号

　　職　　業　行政書士

　　氏　　名　総務故郷

　　生年月日　昭和４４年４月４日

　なお、上記遺言執行者らは、それぞれ単独で本遺言を執行することができる。

※遺言執行者を１名しか指定しないと、万が一、死亡、病気等で就任できない場合、「遺言執行者がいない」と同様の状態になってしまう。

※「それぞれ単独でできる」旨の規定がないと、執行者の過半数（２名の場合は２名）で執行業務を行わなければならなくなるため、かえって煩雑化する。

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