相続人が相続財産を隠したら

◎事例

相談者:妹

母が亡くなった後に兄である長男が、母の預金通帳や有価証券の情報と不動産の登記書類を持ち出したまま連絡が途絶えてしまいました。

遺産分割をしようにも相続財産の全体が把握できなくて困っています。自分は法定相続分だけもらえればよいと思っています。

方法はないでしょうか?

Yahoo NEWS より)

㋐遺言書がない㋑遺産分割協議書がない

ので、申請人の実印と相続人全員の印鑑証明書(他にも母親の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本等必要ですが…)が必要。

しかし、妹が印鑑証明書を用意することは有り得ないので、兄は母親名義の預金通帳の名義変更、解約ができない

また、妹が金融機関に「母親が死亡した」旨連絡すれば、口座は凍結するので、兄はどうすることもできない。

有価証券も同じく。

まず、市区町村役場で「名寄帳」を取り寄せれば、同一市区町村内の不動産が分かる。

甲府市HPはこちら

「名寄帳」とは、固定資産税を課税するために市区町村が作成している固定資産税課税台帳を所有者ごとにまとめたもののことです。

◎必要書類

相続人の場合

①本人確認書類(免許証等)

②亡くなった方が亡くなっていることを証明するための戸籍謄本、遺言書、遺産分割協議書等

また、法定相続分による相続登記なら、遺言書も遺産分割協議書も不要なので兄は単独で相続登記ができる。

妹は対抗して「抹消登記手続請求」を行えばよい。

一見、横領罪に該当するように見えますが、 配偶者、直系血族、同居の親族との間で横領をしたとしても刑を免除しているので、犯罪にはならない (刑法第244条)

なので、兄が同居していたら犯罪不成立。これに対し、同居していなかったら、妹が告訴すれば処罰対象になる。

当面としては、弁護士に依頼。相続財産隠しの証拠を集め、遺産分割調停、審判における解決を図る。

その上で、兄に対し、不当利得に基づく返還請求権(民法第703条)、不法行為に基づく損害賠償請求(民法第709条)を行使するしかないでしょうね。

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投稿者プロフィール

山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
◎主な業務内容:
相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、民泊、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行

山梨県甲府市の行政書士です。
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