所有不動産記録証明制度:2026年2月施行
1、所有不動産記録証明制度
「所有不動産記録証明制度」とは、相続登記が必要な不動産を容易に把握することができるよう、登記官において、特定の被相続人が登記簿上の所有者として記録されている不動産を一覧的にリスト化し、証明する制度のことをいいます。
2026年2月からスタートします。
従来、特定の人が名義人となっている不動産を調査するには、以下の方法があります。
(1)名寄帳(なよせちょう)
固定資産税を課税するために市区町村が作成している固定資産税課税台帳を所有者ごとにまとめたものです。
名寄帳があると
①同一市区町村内の不動産がまとめられているので、特定の人が持っている不動産を一覧で確認することができます。
②固定資産税が課税されていない、納税通知書に未記載の不動産も分かます。
しかし、他の市町村のそれについては掲載されていません。
また、毎年1月1日時点の名義で作成されるため、1月2日以降に取得した不動産についてはその年の名寄帳には記載されません。
(2)固定資産税納税通知書
毎年固定資産税の納税通知書が送付されてきますが、これを見ることにより、所有不動産を把握することができます。
しかし、納税通知書には私道のような固定資産税が非課税の不動産の記載はされていません。
また、固定資産納税通知書は毎年1月1日時点の名義で作成されるため、1月2日以降に取得した不動産はその年の納税通知書には記載されません。
(3)権利証
登記済権利証から、所有していた不動産が確認できます。
ただ、すべての権利証を確認できる保証がなく、漏れが出るリスクを完全にゼロにはできません。
※参考:「法務省HP」
2、所有不動産記録証明制度のメリット
「所有不動産記録証明制度」は上の名寄帳、固定資産税納税通知書、権利書の欠点を見事にカバーしています。
つまり、
①対象は全国の不動産です。
②固定資産税が非課税の不動産も記載されます。
③1月2日以降に取得した不動産も記載されます。
「所有不動産記録証明制度」を活用することで、相続発生後、相続登記が必要な不動産を把握することができます。
また、遺言書の作成など、生前に相続対策をする際にも役立ちます。
3、まとめ
(1)戸籍証明書等の広域交付
相続の際、「亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本」が必要となりますが、この「広域交付」の制度により、本籍地でない市区町村役場でも1か所で全ての戸籍を取得することが可能となりました。
(2)預貯金口座付番制度
相続発生後に相続人がどこか一つの銀行に問い合わせるだけで、被相続人(亡くなった方)の複数ある口座を一括して把握できるようになります。
そして、
(3)所有不動産記録証明制度
被相続人(亡くなった方)の所有する不動産を漏れなく把握することができます。
これらの制度を上手く利用すれば相続手続きの負担軽減となりますが、
例えば、
㋐戸籍証明書等の広域交付を利用できるのは配偶者、直系尊属、直系卑属のみ。兄弟姉妹は利用できない。
㋑預貯金口座付番制度を利用すると、マイナンバー情報が紐付けられているため、一斉に全銀行口座が凍結される可能性がある
などのディメリットもあります。
熟慮を重ねてから利用すること、を忘れずに。
注意しましょう。
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投稿者プロフィール

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◎主な業務内容:
相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行
山梨県甲府市の行政書士です。
高齢化社会を元気に生きる社会に。
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