不動産の換価分割と契約不適合責任

「換価分割」とは、不動産等の遺産を売却、得られた売却金を相続人の間で分配する方法をいいます。

例えば、相続人が子供3名。6000万円の不動産があった場合、不動産を売却、各2000万円ずつ受け取る方法です。

これに対し、代償分割とは、相続人の一人が財産を取得。他の相続人には代償金を支払うことによって清算する遺産分割の方法をいいます。

代償金の金額は、民法が定める「法定相続分」に応じて計算します。

例えば、相続人2名。6000万円の不動産があった場合。兄が不動産を取得して弟に3000万円の代償金を支払うことになります。

引き渡された不動産が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない場合、売主が責任を負うことになります(契約不適合責任)。

従来は、売買の対象不動産に「隠れた瑕疵(欠陥)」が存在した場合に限り、売主は責任を負う、でした(旧瑕疵担保責任)

しかし、民法改正により、隠れていない瑕疵(欠陥)についても売主が責任を負うことになり、責任が重くなりました。

契約不適合責任として、買主側に

①履行の追完請求権

②代金減額請求権

③債務不履行による損害賠償

④契約解除

が認められます。

また、「契約不適合責任」を追及できる期間は「買主が契約不適合を知った時から1年以内」です。

なお、換価分割の際の「契約不適合責任」の当事者は、最終的に売却代金を受け取ることになる相続人全員となります。

「空き家の3000万円特別控除」とは、相続または遺贈で取得した空き家を売却し、所得が発生した場合、譲渡所得の金額から最大3000万円までを控除することができる制度のことをいいます。

ただし、相続などで取得した相続人が2人までの場合は各人の控除額は3000万円が上限になりますが、令和6年以降の売却で3人以上いる場合は各人の控除額の上限は2000万円に引き下げられます。

長期(短期)譲渡所得の金額=収入金額-(取得費+譲渡費用)

※参考:「国税庁HP「NO.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

※参考:「国土交通省HP「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3000万円特別控除)」

◎適用要件

①昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された建物であること

②相続または遺贈(包括遺贈)で空き家とその敷地をともに取得したものであること

③区分所有建物登記がされていない建物であること

④相続開始の直前まで被相続人以外が居住していなかったこと
(注:被相続人が老人ホーム等に入居していた場合などの例外規定もある)

⑤建物付きで売却する場合、売却日までに一定の耐震基準を満たすこと。または売却日の翌年2月15日までに耐震基準を充たすリフォーム工事を行うこと

⑥売却代金が1億円以下であること

⑦「特別の関係にある者」(配偶者、直系血族など)に対する譲渡ではないこと。

⑧相続開始以後、3年を経過する日の属する年の12月31日までに相続した空き家を売却すること

など

換価分割を盛り込んだ遺産分割協議を行う前に

①不動産の買主として、「契約不適合責任免除特約」(民法第572条)を引き受けてくれる不動産屋さんを探す

②「空き家の3000万円特別控除」を利用することで、可能な限り譲渡所得税を下げる

などの検討が大切です。

相続人が誰も住む予定がなく、実家を売却することにより、売却代金を公平に分けることを考えているなら、是非専門家に相談を。

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山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
◎主な業務内容:
相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、民泊、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行

山梨県甲府市の行政書士です。
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