成年後見制度を使わず、知的障害者などの相続分を0にするには

相続人なくして知的障害のある方が亡くなった場合、兄弟姉妹の子までは相続権がありますが、兄弟姉妹の孫や兄弟姉妹の配偶者には相続権がありません。その場合、国庫に属することになります。

国庫に属する前にその状況に気づけば、生前贈与をすることで逃れることができます。

しかし、気づかない場合は国庫行きです。

成年後見制度を利用して後見人を選任した場合、本人が亡くなるまでその財産をできるだけ減らすことのないように、安全な運用を行うことが職務なので、生前贈与は認められません。

まず、後日「障害を持っている方の意思能力、判断能力」に疑いをもたれ、遺言書が無効とされてしまうのを防止するために、「医師による診断書」を擁しておきます。

その上で「相続分をゼロにしても納得してもらう方法」を提案します。

(1)本人の相続分を0にする代わりに「信託財産」にする

本人の生活の安定を図るために、信託財産として本人の生活のために運用する、です。

「本人が亡くなった後の財産の帰属先」についても、信託契約時に決めることができます。

(2)いったん兄弟姉妹が財産を全て引き受け、本人のために使う財産を分かり易いよう、別に管理する。

遺産分割協議にて「A(兄弟姉妹)がすべての財産を相続する」旨の協議書を作成。

本人のための別口座を設け、その口座から使う費用を引き出す。

こうしておけば、後日意思能力、判断能力が疑われても大丈夫です。

なお、相続税の障害者控除を受ける必要がある場合、障害者の相続分を0にすることはできません。ご注意を。

「障害があるので成年後見制度を利用」。

確かにそうです。

しかし、その前の段階ならまだ打てる手段があります。

残された知的障害のある方の行く末を心配している方。是非専門家に相談を。

※関連記事

子供のいない夫婦は「たすきがけ遺言」を

「たすきがけ遺言」とは、夫は「自分が妻より先に死んだ場合には遺産はすべて妻に相続させる。」という遺言書を書いておき、妻は「自分が夫より先に死んだ場合には遺産は…

子供がいない夫婦が相互に任意後見契約を結ぶ

認知症等によって、夫婦どちらか一方が判断能力が失われる「準備」の一つとして、お互いがお互いと「任意後見契約」を結ぶ、があります。

障害のある子供を家族信託で守るには

◎事例: 両親がいて、子供が2人。1人は未成年。重度の障害者。 何もしなければ、両親の死後、ある時点で障害のある子供に成年後見人を付けなければならなくなります。…

特定贈与信託

「特定贈与信託」とは、障害を持った人が不自由なく、安定した生活を送れるように、本人の親族等が本人の財産の管理、運用を信託銀行などに任せる方法です。

日常生活自立支援事業

◎利用対象者 認知症、知的障害、精神障害などにより、日常生活における判断に不安のある方が対象です。

[事例]成年後見人がついている知的障害者の財産を国に取られないようにするには

◎事例 ㋐両親既に死亡 ㋑長男は子なし夫婦 ㋒次男は重度の障害者。成年後見人が付いている

[事例]次男が重度の知的障害者。遺言書を残さないと…

父親死亡。 相続人は母親、長男(子供なし夫婦)、次男(重度の障害者)。

山梨県、甲府市で見守り契約、財産管理契約、任意後見契約、遺言書の作成、公正証書遺言の原案作成、尊厳死宣言公正証書の原案作成、死後事務委任契約、終活に関する様々な問題にお困りでしたら、ご相談承けたわまります。

Follow me!

投稿者プロフィール

山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
◎主な業務内容:
相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、民泊、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行

山梨県甲府市の行政書士です。
高齢化社会を元気に生きる社会に。
体の不自由なお年寄りが安心して生活出来る社会を作りたい、
困っている方の力になりたい。
皆で応援し、安心して暮らせる社会を作りたい。
そんな願いを胸に日々仕事に従事しています。

当事務所への「お問い合わせ欄」は「こちら」

お気軽にご相談下さい。