死因贈与
1、死因贈与
「死因贈与」とは、あげる人(贈与者)ともらう人(受贈者)の合意(契約)に基づく贈与です。
贈与者が死亡したときに贈与の効力が生じます(民法第554条)。
2、遺贈との違い
「遺贈」とは、遺言書の中で「自分が死んだら〇〇に××の財産をあげる」という財産を渡す側の一方的な意思表示です。
これに対し、「死因贈与」は、財産を渡す側ともらう側の双方の合意(死因贈与契約)が必要であるという点で遺贈とは異なります。
3、死因贈与の注意点
(1)公正証書にする
死因贈与は、贈与者と受贈者の口頭での合意でも成立しますが、後々の法的トラブルを防ぐには「死因贈与契約書」という書面を作成し公正証書にしておいた方が望ましいです。
公正証書にしておくと、対象不動産の仮登記及び本登記手続きにおいて、登記の必要書類が揃えやすくなり手続きがスムーズになります。
(2)不動産は仮登記をしておく
不動産を死因贈与の対象財産とする場合、もらう側の権利を確保するために、「始期付所有権移転仮登記」をしておいた方がよいです。
「始期付所有権移転仮登記」とは、贈与者の生存中は所有権はそのままですが、贈与者が死亡すると所有権が受贈者に移る登記のことをいいます。
原則、贈与者(仮登記義務者)と受贈者(仮登記権利者)が共同して申請します。
その際、贈与者の実印押印や印鑑証明書も必要になります。
ただし、死因贈与契約書を公正証書で作成している場合は、贈与者の贈与意思が明確なので、贈与者の承諾書や印鑑証明書の添付も不要となります。
(3)契約書の中で「執行者」を指定しておく
死因贈与契約書の中で「執行者」を定めておくと、実際に贈与者が死亡し死因贈与契約が発効した後、不動産の本登記手続きの際に贈与者の法定相続人の協力を得ずに本登記手続きがスムーズにできます。
受贈者自身又はこの契約に関わった弁護士、司法書士、行政書士等の専門家をを「執行者」に定めておくことによって、受贈者側だけで手続きが完遂できる点で安心です。
(4)死因贈与は遺留分侵害額請求の対象となる
相続人には、最低限の相続割合である「遺留分」が法律で保障されています。
死因贈与によって、遺留分に満たない財産しかもらえなかった相続人は遺留分相当額との差額を請求することができます(遺留分侵害額請求)。
ただし、民法で「受遺者と受贈者とがあるときは、受遺者が先に負担する。」と定められています(第1047条第1項1号)。
つまり遺贈を受けた人から優先的に遺留分の侵害額を支払うことになります。それでも相続人の遺留分に不足した場合は、死因贈与の受贈者が負担します。
遺留分侵害額の負担の優先順位は、遺贈、死因贈与、生前贈与となります。
(5)死因贈与による配偶者居住権取得
夫婦のどちらか一方が亡くなった際に、配偶者は亡くなった方が所有している建物に、自身が亡くなるまで(もしくは一定期間)無償で居住できる権利を持「配偶者居住権」といいます。
◎要件
①配偶者が相続開始時において、亡くなった人が所有する建物に住んでいたこと
②亡くなった人が相続開始時において、居住建物を配偶者以外の者と共有していないこと
③遺産分割、遺贈、死因贈与、家庭裁判所の審判によって配偶者居住権を取得したこと
山梨県、甲府市で見守り契約、財産管理契約、任意後見契約、遺言書の作成、公正証書遺言の原案作成、尊厳死宣言公正証書の原案作成、死後事務委任契約、終活に関する様々な問題にお困りでしたら、ご相談承けたわまります。
投稿者プロフィール
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相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、民泊、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行
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