越境物の覚書

越境物の覚書」とは、越境物問題の解決に関する内容が記された合意書です。

根の一部、ブロック塀、庭木等の所有物が隣地に侵入していれば、本来なら隣地所有者に対する「妨害排除請求権」によって撤去請求が認められます。

「越境物の覚書」があれば、相手の所有権を妨害している状態を含め合意している旨を書面に残せるので、言った言わないのトラブルになるリスクも回避できます。

「越境物の覚書」を作成しておくと、買主が住宅ローンが使えるようになります。

住宅ローンは返済が滞ったときに備え、借入する人の返済能力を調べると同時に不動産を担保に設定しますが、「越境物の覚書」があると越境している状態でも、将来的に問題解決する見込みがある旨を証明できるため、住宅ローンが通りやすくなります。

越境物があると、「瑕疵物件」「トラブル物件」とみなされ、売却価格が下がります。

(1)土地家屋調査士に測量図の作成を依頼

どのような越境物が、どのくらい越境しているか」を把握するためには、隣地との境界の確定が必要です。

なので、越境物の覚書を作成する前に土地家屋調査士に測量をしてもらい、隣地との境界を確定させます。

越境物の覚書作成で行うのは「確定測量」です。

(2)境界確定の測量を行う

確定測量では、依頼者、隣地所有者、土地家屋調査士の3者が立ち会いの元、正確な面積を測り境界を確定します。

依頼者、隣地所有者が確定測量図を確認、「筆界確認書」に署名、押印をします。

(3)越境物を確定。除去方法につき協議

(4)「越境物の覚書」を作成する

内容

①越境物が境界線を越境している事実を依頼者、隣地所有者がお互いに確認

②将来、越境物の所有者が建て替えをする際、自己負担で越境の解消をする

③土地を第三者に売却する際、新たな所有者に契約内容を継承する

④建て替えを行う時まで、越境物の撤去を猶予する

①所有権に基づく妨害排除請求権により、撤去請求されます。

②時効取得される所有権について知らなかった場合は10年、知っていたとしても所有期間が20年を経過すると、越境部分の土地の所有権は隣人に移行します(民法第162条)。

「越境物の覚書」を作成していれば、民法第152条の「権利の承認」に該当するため、時効が中断します。

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投稿者プロフィール

山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
◎主な業務内容:
相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、民泊、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行

山梨県甲府市の行政書士です。
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