特別寄与料の相場は?
1、特別寄与料
かつて、遺言がない限り、遺産をもらえる権利は「相続人」にしかありませんでした。
しかし、不公平が生じる場合があったので「特別寄与料」が新設されました。
たとえば、父と息子夫婦が同居していたとします。
「特別寄与料」とは、息子の妻が父を介護した場合、その貢献に見合った金銭を請求できる制度です。
2、認められる要件
①「6親等以内の血族」と「3親等以内の姻族」
②「療養看護」などを無償で行い、相続財産の維持や増加に役立ったことが認められる
③「貢献に報いるのが相当といえる程度の顕著な貢献」である
3、特別寄与料の相場
以下の基準は、あくまでも裁判所が特別寄与料を判断する際の相場です。
(1)被相続人の介護をした場合
特別寄与料=介護日数×介護報酬相当額×裁量割合
※介護報酬相当額:
介護保険制度で要介護度に応じて定められている介護報酬基準額による。
1日5000円~8000円
※裁量割合:親族には扶養義務がありますが、介護の専門家ではないので、その点を割り引いて。
実務では、0.7が採用されることが多いです。
例:
介護日数:400日、介護報酬相当額:1日6000円、裁量割合:0.70の場合、寄与料は168万円。
(2)被相続人の事業に従事した場合
特別寄与者が通常得られたであろう給与額×(1-生活費控除割合)×寄与期間
※特別寄与者が通常得られたであろう給与額
統計資料「賃金センサス」を参考に、同種同規模同年齢の年間給与額を算出。
※生活費控除割合
家業に従事している場合、労働に対する報酬が生活費等の形で家業収入の中から支出されていることが多いことから、これを控除します。
4、「特別寄与料」を認めてもらうには
①遺産分割協議にて、相続人と交渉する
↓
②①で認められない場合、家庭裁判所に「特別の寄与に関する処分調停」を申し立てる
5、まとめ
「寄与分」と同様「特別寄与料」も自身の相続分が減る点で相続人の強い抵抗が予想されます。簡単に認められるものではありません。
たとえ、家庭裁判所の申し立てで認められたとしても、その後の関係は疎遠になるでしょう。
介護を受けたことについて感謝の気持ちを持っているのなら、それを遺言書による「遺贈」もしくは「生前贈与」で示しましょう。
その方が確実にまとまったお金を渡すことができます。
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投稿者プロフィール
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相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、民泊、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行
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