相続人に未成年者がいる場合の遺産分割

遺言書を残していなければ、相続人全員で「遺産分割協議」を行うことになりますが、未成年者は法律行為ができないので、遺産分割協議に参加することができません。

未成年者に代わって法律行為を行うのは親権者ですが、遺産分割協議の場合には親権者も遺産分割の当事者に含まれる可能性が高いです。

となると、親権者が子の代わりに遺産分割協議を行うことは利益相反行為になってしまい、親権者は未成年者に代わって遺産分割協議をすることができなくなります。

上のような場合、家庭裁判所に対し「特別代理人」の申立てを行います。

◎必要なもの

①特別代理人の選任申立書

②親権者の戸籍謄本

③未成年者の戸籍謄本(子供と同一戸籍ではない場合)

④特別代理人候補者の住民票

⑤財産証明書:残高証明書、通帳コピー、固定資産税評価証明書等

⑥遺産分割協議書の「案」

◎手続き

(1)選任申立書、添付書面等を揃えて管轄家庭裁判所へ申請

(2)家庭裁判所内で審査

(3)特別代理人候補者に宛てて照会書を送付

(4)特別代理人候補者が照会書に必要事項を記入して返送

(5)受理決定後、申立人に「特別代理人選任審判書」を送付

※注意:

「審判書」の交付まで3か月ほどかかります。

この間は、相続手続きが止まってしまいますので、相続税申告(10か月以内)等の期間制限に注意して下さい。

「特別代理人」の役割は「未成年者の利益を守ること」です。なので、「特別代理人」選任の申し立ての際提出する「遺産分割協議」の「案」が法定相続分に沿っている等、適切なものであれば、候補者が専門家ではなく、親族でも受理されます。

逆に、未成年者が法定相続分を受ける権利を失う「遺産分割協議書」の「案」である場合、家庭裁判所に対し、合理的な理由を示さなければなりません。

事例:旦那さんが亡くなりました。相続人は妻と子供

不動産は妻に、預貯金は未成年者に相続させたとして、法定相続分以上になるように、未成年者に相続させれば問題ない。「特別代理人」選任の申し立てが通る。

しかし、そうではない場合、審査が厳しくなり、通るかどうか確証が持てなくなる。

一つの方法として、未成年者が15歳以上なら「母親に財産を相続したい」旨の「上申書」を書いてもらう」がある。

15歳以上なら遺言書の作成もできますし(民法第961条)、自らの意思を表明できる根拠になる。

確実に審査が通る保証はありませんが、可能性を高める上で有意義な方法です。

もっとも、遺言書さえ残せば、こんな面倒なことをしなくてよいんですけどね。

遺言書を残しましょう。

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投稿者プロフィール

山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
◎主な業務内容:
相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、民泊、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行

山梨県甲府市の行政書士です。
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