貸金庫の開扉、解約に非協力的な相続人がいる場合
1、貸金庫契約の法的性質
㋐貸金庫契約は「貸金庫の場所の賃貸借契約」である
㋑契約者が死亡すると「貸金庫契約上の地位」は、相続人に承継される
(最高裁平成11年11月29日判決)
この理屈でいくと、各相続人の準共有(民法第264条)となるので、相続人は単独では貸金庫の開扉、解約は出来ない事になる。
場所も銀行内ですし「銀行の協力の下で」を可能な限り拡大して解釈すると、銀行が貸金庫を開扉、解約するには、
㋐相続人全員の立ち会い
㋑遺言書で遺言執行者を指定。貸金庫の開扉、解約について権限を与えておいた際の遺言執行者
を必要とする旨対応しても、無理はない。
2、貸金庫の開扉、解約に非協力的な相続人がいる場合
貸金庫の開扉、解約に非協力的な相続人がいると、銀行での手続きの際、「相続人全員の立ち会い」は実現困難となります。
当日銀行内で立ち会うことができなければ「委任状を」の方法もありますが、同じく実現困難でしょう。
また、言うまでもないことですが、遺言執行者が選任されていなければ、それを前提として先には進むことができません。
家庭裁判所に申し立てることにより、遺言執行者を選任してもらう方法もありますが、希望の者が選任されるかどうかは分かりません。
3、家事事件手続法284条の調停に代わる審判
そこで、弁護士を依頼。
家事事件手続法284条の調停に代わる審判において、
「被相続人名義の甲府銀行 甲府駅前支店の貸金庫契約について、申立人は、同契約上の地位を単独で承継するものとし、単独で貸金庫の開披及び解約並びに貸金庫内の物品の受取権限を有することを確認する。」
旨の審判を得ることにより、弁護士単独で貸金庫の開扉、解約を行ってもらう方法があります。
非協力的な相続人がいる時点で「紛争状態」「争族」ですし、弁護士の先生に依頼するしかないですね。
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