公正証書遺言でも遺留分を請求できる

遺留分」は、亡くなった方の兄弟姉妹以外の近しい関係にある法定相続人に最低限保障される遺産取得分です。

この権利は遺言によっても奪うことはできません。

では、公正証書遺言でも奪うことができないか?。

公正証書遺言は、遺言者本人が、公証人と証人2名の前で、遺言の内容を口頭で告げ、公証人が、それが遺言者の真意であることを確認した上、これを文章にまとめたものを、遺言者および証人2名に読み聞かせ、または閲覧させて、内容に間違いがないことを確認してもらって、遺言公正証書として作成します。

公証人が作成するものですが、同じく奪うことはできません。

なぜなら、遺留分は、本来であればその遺産を受け取れるはずだった相続人を救済する制度だからです。

自筆証書遺言でも公正証書遺言でも遺留分の方が優先されます。

※参考:「日本公証人連合会HP

(1)遺留分の金額を計算

◎事例:

相続人:妻、子供2人

相続財産:1億円

妻の遺留分は1/2×1/2=1/4。

子供1人あたりの遺留分は1/4×1/2=1/8。

つまり、子供の場合、相続分が1250万円以下なら遺留分が侵害されたと言える。

(2)配達証明付き内容証明郵便で遺留分侵害額請求

遺留分侵害額を請求できる権利は最短1年で時効が完成します。

「請求した日がいつか」「相手に到達したこと」を証明できるようにするため、「配達証明付き内容証明有部員」で遺留分侵害額請求をした方が確かです。

書面には最低以下の内容を含めることが必要です。

①請求する人の名前(あなた)

②請求する相手(送付先)

③請求の対象となる遺贈、贈与、遺言の内容

④遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求する旨

⑤請求する日時

「配達証明付き内容証明郵便」を送った結果、相手方との協議がまとまったら、合意書を取り交わし、侵害された遺留分を返還してもらいます。

(3)遺留分侵害額の請求調停、請求訴訟

内容証明郵便を送っても話がまとまらず、遺留分侵害額の返還がなされない場合、遺留分侵害額の請求調停や請求訴訟を起こすことになります。

なお、遺留分侵害額請求を行った後、裁判上の請求を行わずにいた場合、5年で「金銭請求権」が時効消滅します。

注意してください。

※参考:「裁判所HP

①「相続が開始した事」「遺留分が侵害されていること」両方を知ってから「1年」

②相続が開始してから(被相続人が亡くなってから)「10年」

(民法第1048条)

③遺留分侵害額請求した後の金銭請求権の時効は「5年」

(民法第166条)

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遺留分の基礎となる財産

「遺留分を算定するための財産の価額」は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額とする(民法…

遺留分侵害の判例

東京高裁平成30年10月19日判決

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山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
◎主な業務内容:
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