被相続人が台湾人。戸籍を揃えることができない場合
1、台湾人が死亡した際の相続手続き
台湾籍の方が日本で亡くなった場合、相続には台湾の法律が適用されます。
台湾籍の方が日本法における遺言書を残した場合、日本法(民法)に適合していれば有効です。
2、法定相続人
順位 | 台湾 | 日本 |
配偶者 | 常に相続人 | 常に相続人 |
第1順位 | 直系卑属 | 子またはその代襲相続人 |
第2順位 | 父母 | 直系尊属(父母など) |
第3順位 | 兄弟姉妹 | 兄弟姉妹またはその代襲相続人 |
第4順位 | 祖父母 |
日本法では、父母、祖父母は直系尊属として第2順位の相続人となるのに対し、台湾法では、直系尊属は第2順位の父母、第4順位の祖父母に規定されています。
3、配偶者の法定相続分
(1)第1順位にある相続人(直系卑属:子供、孫)と相続するときは、配偶者の相続分は他の相続人と均等とする。
(2)第2順位(直系尊属:父母)または第3順位(兄弟姉妹)の相続人と相続するときは、配偶者の相続分は1/2とする。
(3)第4順位の相続人(祖父母)と相続するときは、配偶者の相続分は2/3とする。
4、戸籍の収集
(1)台北駐日経済文化代表処で文書の認証
①台湾への戸籍の申請書(代理人に依頼するときは「授権書」)
②被相続人との関係を証明する書類
③本人確認書類:運転免許証など
を台北駐日経済文化代表処で申請書または授権書の認証を受けます。
↓
(2)台湾の戸政事務所に郵送で申請または台湾の地政士に代理申請を依頼
↓
(3)台湾から戸籍が届いたら、翻訳。
5、戸籍を収集できない場合
被相続人が日本で出生した場合、日本の市区町村役場には出生届を提出。住民票に記載されますが、台湾の役所に出生届をしていない場合、台湾での戸籍が作成されず、台湾の戸籍関係書類を取得できないことになります。
この場合、被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍を保管する書類を提出する必要があります。
(1)被相続人の外国人登録原票の写し
平成24年より前に日本に移住した方は、日本移住時~平成24年までの日本で生活していた期間については戸籍の代わりになる書類として「外国人登録原票」を使用することができます。
(2)上申書、宣誓供述書
これに対し、平成24年以降~死亡までの期間については、戸籍の代わりになる書類は存在しないことになります。
出生~1952年。平成24年~亡くなるまでの相続関係を証明できない場合、相続人全員が、自分が亡くなった方の相続人に相違ないことを日本の公証役場で宣誓、署名押印します。これを「宣誓供述書」といいます。
さらに、相続人は全員であることを「上申書」として「宣誓供述書」とともに、法務局や銀行などでの相続手続きの際、提出します。
6、生前に公正証書遺言の作成を
上にも書いた通り、台湾の戸籍関係書類を取得できないこともあります。
そこで、生前のうちに公正証書遺言を作成し、かつ、遺言書の中で遺言執行者を指定しておけば、公正証書遺言書の作成時も、死亡後の相続手続きも「銀行の手続き」などなら、戸籍を出生から取り寄せる必要はなく、「最後の戸籍(除籍)謄本のみ」で足ります。
もっとも、たとえ公正証書遺言+遺言執行者の指定でも、不動産の名義変更(相続登記)については、原則通り、生まれてから亡くなるまでの戸籍が必要になります。
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投稿者プロフィール

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相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行
山梨県甲府市の行政書士です。
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