貸金庫に遺言書を保管したかも…。どうする?

「貸金庫に入れてはいけないもの」の一つに遺言書があります。

相続人が貸金庫の存在を知らなかった場合、貸金庫を借りている金融機関の相続手続きを開始して初めて知ることになります。

相続人が貸金庫の開扉手続きし、中身を確認するまで、遺言の存在、内容を相続人は知ることはできません。

遺言がない場合、相続人が遺産分割協議を行い、財産分けを協議、決定しますが、それが一から覆されることになります。

なので、貸金庫に遺言書を入れてはいけません。

㋐被相続人(亡くなった方)が金融機関と貸金庫を契約していたこと

㋑被相続人が遺言書を残していたこと

は確かだとします。

「もしかしたら貸金庫の中に遺言書があるかも」と思ったら…。

(1)公正証書遺言を作成していた場合

貸金庫を開ける前でも、日本公証人連合会の遺言検索システムで確認することができます。全国の公証役場で作成された遺言の有無や保管場所を検索するのが可能です。

◎手続き

請求できる方は相続人や遺言執行者などの利害関係者です。

公証役場で来諸日時を予約。申し込みます。

◎必要書類

①故人の死亡を証明する除籍謄本

②相続人であることを示す戸籍謄本

③本人確認書類:運転免許証など

検索手続きは無料。

公正証書遺言の謄本を請求する場合、ページ1枚につき250円。

※参考:「加古川公証役場HP「遺言検索

(2)自筆証書遺言保管制度を利用していた場合

遺言者が希望すれば「指定者通知」を設定することができます。

「指定者通知」とは、戸籍担当部局と連携して遺言書保管官が遺言者の死亡の事実を確認した場合、予め遺言者が指定した方(3名まで指定可)に対し、遺言書が保管されている旨をお知らせするものです。

指定者通知を設定していると、受領した方にその事実が伝わり、その方が遺言書の閲覧等を行うことにより、関係遺言書保管通知によって、結果として、その他全ての関係相続人等にも、遺言書が保管されていることが通知されます。

貸金庫を開けることなく、遺言書の内容を知ることが可能です。

(3)自筆証書遺言保管制度を利用していなかったら…

定石通り、自宅を探し、どうしても見つからなかったら貸金庫をあたってみるしかありません。

銀行が貸金庫を開扉、解約するには、

㋐相続人全員の立ち会い

㋑遺言書で遺言執行者を指定。貸金庫の開扉(かいひ)、解約について権限を与えておいた際の遺言執行者

が必要です。

貸金庫の開扉の交渉をする時点ではまだ遺言書が手元にないため、たとえ遺言執行者でも貸金庫を開扉することはできません。

相続人全員の立ち会いができればよいですが、非協力的な者がいたり、行方不明者がいると不可能です。

「事実実験公正証書」とは、公証人が自ら見聞きし、直接体験(事実実験)した事実に基づいて作成した書面のことです。

貸金庫の中身を確認した公証人が、貸金庫がいつどのようにして開けられ、中には何がどのような状態で入っていたのかを記録、それを公正証書にします。

事実実験公正証書によって、貸金庫を開けた時の状況が証拠として保全されるます。

後々内容物の持ち去り等で紛争が生じたとしても、金融機関が責任を追及されることは無いので、相続人全員の同意が揃わなかったとしても開扉に応じてくれます。

◎手続き

①金融機関に「貸金庫の中身を確認したいが、相続人全員の同意が揃わないため、公証人立会いのもと開扉したい旨伝える

②金融機関に必要書類を提出

㋐亡くなった方の相続関係を証明する戸籍謄本

㋑相続人全員の戸籍謄本

㋒相続人のうち、同意を得ている方からの委任状、同意書、印鑑証明書

㋓金融機関所定の書類

㋔貸金庫の鍵、カード

③公証役場に貸金庫を開ける日を予約

④公証人と打ち合わせ。公正証書の内容の確認

⑤開扉当日。金融機関にて内容を確認

⑥公正証書が作成されたら公証人に手数料を支払い、正本を受け取る

※参考:「日本公証人連合会HP「事実実験公正証書

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山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
◎主な業務内容:
相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行

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