失踪宣告
1、失踪宣告
「失踪宣告」とは、生死が分からない行方不明の人に対し、要件を満たすと法律上死亡したとみなす制度のことです。
警視庁の発表によると、令和4年度の行方不明者は84910人。
あくまでもこの数字は、警察に行方不明者届が出された者の数であり、実際はもっと多いでしょう。
「失踪宣告」が認められている趣旨は、行方不明者の財産を処分することができない、別の人と再婚できない等、不安定な立場に置かれてしまう残された親族等の立場を安定させるためです。
2、「失踪宣告」が認められる要件
①行方不明者の生死が不明な状態であること
②行方不明の状態が一定期間継続していること
3、「失踪宣告」の手続き、必要書類
(1)利害関係者による申し立て
◎必要書類
①裁判所HP所定の「失踪宣告の申立書」
②行方不明者の戸籍謄本、戸籍の附票
③失踪を証明する資料:警察署長発行の「行方不明者届受理証明書」等
④申立人と行方不明者の利害関係を証する資料
↓
(2)家庭裁判所による調査
↓
(3)裁判所による公示催告
失踪宣告の申し立てがなされている旨を官報や裁判所の掲示板に公示
↓
(4)裁判所による失踪宣告の審判
審判によって失踪宣告が認められても、自動的に行方不明者の戸籍は変更されません。
10日以内に行方不明者の本籍地、又は申立人の住所地である市区町村の役場へ失踪の届出をする必要があります。
4、行方不明者が実は生きていた場合
本人が生きていても自動的に失踪宣告が取り消されるわけではないので、本人や利害関係人により、失踪宣告の取消を裁判所に申し立てる必要があります。
失踪宣告の取り消しによって、相続も初めからなかったことになります。
失踪宣告の取消による財産の返還ですが、「現に利益を受けている限度において」(現存利益だけ)返還すれば良いとされています。
①相続人等が浪費していた場合には、残っていた分だけを返還することになります。
②これに対し、生活費に使用していた場合、住宅ローンの返済に充てていた場合等は、「現に利益を受けている」といえるため、そのぶんも返還する必要があります。
「失踪宣告」:裁判所HP
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