兄弟姉妹の扶養義務

兄弟姉妹には、それぞれ扶養義務があります。


なので、引きこもり、無職などで生活が困窮している兄弟姉妹がいる場合、何らかの援助をしなければならないこともあります。

ここでいう「援助」とは「生活扶助義務」のことをいいます。

つまり、扶養義務者の余力のある範囲で援助すれば、扶養義務を果たしたといえます。自分の生活を犠牲にしてまで扶養する必要はありません。

(1)親の預貯金を使い込む

たとえ窃盗罪に該当しても、「親族相盗例」の適用を受けるため罪を問われません。

民事上の返還請求権はありますが、兄弟姉妹に資力がないと「絵に描いた餅」となります。

(2)相続の際、遺産分割協議で揉める

両親の死後、遺言書がなければ遺産分割協議で財産分けをしなければなりませんが、残念ながら引きこもり、無職の兄弟姉妹にも「遺留分」があるので、「相続分ゼロ」というわけにはいきません。

かといって、兄弟姉妹の面倒を見ることを条件に遺産を多めにもらっても、自身の生活もありますし、途中で息詰まる可能性があります。

(3)兄弟姉妹の身元保証人に

兄弟姉妹に自分以外の身寄りがいなければ、入院、施設入所時などの際、「身元保証人に」と言われる可能性があります。

また、兄弟姉妹の死後、葬儀の手配、遺品整理など、財産分け以外の手続きが必要となります。

(4)兄弟姉妹の借金を相続。背負い込む

「相続放棄」がありますが、そうなると借金だけ放棄することはできず、不動産、預貯金などのプラスの財産まで放棄しなければなりません。

(1)親の預貯金を使い込む

法律論ではありませんが、勝手に使い込まれないように、通帳、カードなどを勝手に使わないよう、保管するしかないでしょうね。

(2)相続の際、遺産分割協議で揉める

兄弟姉妹が自らの立場を理解したうえで協議に臨む、は考えにくいでしょう。

親が元気なうちに遺言書を作成。残された兄弟姉妹が負担に感じない形で財産を残すしかないでしょうね。

(3)兄弟姉妹の身元保証人に

親が元気なうちに、身元保証、死後の手続きについて専門家に相談。任意後見契約、死後事務委任契約などを締結しておく。

(4)兄弟姉妹の借金を相続。背負い込む

これも法律論ではありませんが、「借金を作らない」ことから対策しないと…。

引きこもりの方の多くは、実家などに住んでいる場合がほとんどでしょう。

たとえ本人の収入がなくても、親や同居家族に年金を含む収入がありますと、生活保護が受けられないケースが多いです。

また、引きこもりの方に就労する(職を探している)状態でないと、同じく生活保護を受けることができません。

ひきこもりの方が部屋を借りて、1人暮らしを開始。住民票も移せば、本人は収入がなく、親や同居家族とも離れているので生活保護を受けることができる可能性がありますが、それでも就労意欲は必要です。

様々な事例があるので一概には言えませんが、重度の精神疾患ではなく、五体満足なら、単なる本人の「甘え」が要因でしょう。

まずは、一歩前に出てみる。「探して働いてみること」から始めないと、周りに迷惑を掛けている状態を解消するのは難しいでしょうね。

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山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
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