[事例]相続した不動産の名義が亡くなった祖父のまま放置されていたため、相続人が17人になっていた!

[事例]:相談

父が亡くなり、実家の名義変更のために法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得してみると、他界したばかりの父の名義ではなく、前に亡くなっていた祖父の名義のままでした。

父は10人兄弟。父が亡くなった時点で既に兄弟姉妹が6名死亡。6名の兄弟姉妹の子供が合計12人います。

今回のように名義変更が放置されていた場合、たとえ父が実家を引き継いだとしても、相続人全員の共有財産という扱いになります。

つまり、祖父の子の代、つまり父とその兄弟姉妹が不動産を共有で所有していることになります。

父の兄弟姉妹も亡くなってれば、その子供(祖父からみての孫)たちも相続人になります(代襲相続)。

今回の事例では、祖父の相続人は、相談者(兄弟姉妹はいないものとする)の他、父の兄弟姉妹4名+代襲相続者12名=17名となりました。

(1)他の相続人を把握する

①相談者の祖父の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本をすべて集める。

2024年3月1日から改正戸籍法施行。戸籍謄本等の広域交付ができるようになりました。相談者が直接市区町村役場の窓口に行けば、本籍地でない市区町村役場でも1か所で全ての戸籍を取得することが可能です。

②相続人のなかにすでに死亡している人がいれば、さらにその人の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本を集める。

③①②により現在の相続人が確定したら、その人の現在の戸籍謄本を請求する

なお、原則として兄弟姉妹、叔父、叔母、従弟などの戸籍謄本などを取り寄せることはできませんが、正当な理由(この事例の場合「相続人を確定させるため)があれば大丈夫です。

(2)相続人に連絡

①相続人の戸籍謄本の取得により「本籍」が判明したら、戸籍の附票を請求。現在の住所を確認します。

②現在の住所を確認したら、その住所に手紙を送ってみます。

(3)相続人から連絡があったら、実家の祖父名義の不動産を自分名義に変えること(相続登記)に協力を依頼します。

相続人から連絡がこない、連絡があったものの協力を得られないなど、紛争状態になれば、弁護士に依頼、交渉してもらうしかありません。

(4)登記手続き

相続人全員と話ができて協力を得られるこのになれば、遺産分割協議書を作成。そこに署名と捺印(実印)をもらいます。

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