相続人の同意が揃わない場合に貸金庫を開けるには?:事実実験公正証書

契約者の死亡後に貸金庫を開けて中身を確認するには、原則として相続人全員の同意が必要です。

遺産分割協議書又は金融機関所定の同意を証する書面に、相続人全員が実印を押印、印鑑証明書と一緒に提出することになります。

相続人全員の同意がなければ原則貸金庫を開けることは出来ませんが、それでも貸金庫の中身を確認したい場合、方法として2つあります。

(1)遺言書執行者が遺言執行の一部として行う。

遺言書で遺言者が指定されていれば、もしくは家庭裁判所により遺言執行者が選任されていれば、業務として貸金庫を開けることができます。

しかし、遺言執行者が選任されていなければ…。

事実実験公正証書」とは、公証人が自ら見聞きし、直接体験(事実実験)した事実に基づいて作成した書面のことです。

貸金庫の中身を確認した公証人が、貸金庫がいつどのようにして開けられ、中には何がどのような状態で入っていたのかを記録、それを公正証書にします。

事実実験公正証書によって、貸金庫を開けた時の状況が証拠として保全されるます。

後々内容物の持ち去り等で紛争が生じたとしても、金融機関が責任を追及されることは無いので、相続人全員の同意が揃わなかったとしても開扉に応じてくれます。

(1)金融機関に「貸金庫の中身を確認したいが、相続人全員の同意が揃わないため、公証人立会いのもと開扉したい旨伝える

(2)金融機関に必要書類を提出

①亡くなった方の相続関係を証明する戸籍謄本

②相続人全員の戸籍謄本

③相続人のうち、同意を得ている方からの委任状、同意書、印鑑証明書

④金融機関所定の書類

⑤貸金庫の鍵、カード

(3)公証役場に貸金庫を開ける日を予約

(4)公証人と打ち合わせ。公正証書の内容の確認

(5)開扉当日。金融機関にて内容を確認

(6)公正証書が作成されたら公証人に手数料を支払い、正本を受け取る

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