[事例]父親死亡。実家の名義を長男名義にしたところ長男が先に死亡。自宅を相続した嫁に母親追い出される

㋐父親死亡。相続人は母親。長男。次男。

㋑実家には母親と長男夫婦が住んでいましたが、母親死亡後の二次相続のことを考えると、どうせ長男が相続することになることから、実家を長男名義に。

この点について3人とも異論なく合意しました。

㋒ところが、母親より先に長男が急死。

相続人は長男の配偶者(嫁)と長男の子供2名。

実家は長男の配偶者(妻)が相続。

㋓長男の嫁が相続手続きをしたところ、長男が独身の頃に母親を受取人とした生命保険契約書を発見。

本来なら結婚した時点で受取人を配偶者(長男の嫁)に変更すべきところ失念。

保険金は母親が受け取ることになりました。

仮に受取人が長男の嫁など、相続人なら、非課税枠(500万円×相続人の人数(3名)=1500万円)が使えます。

しかし、受取人が相続人ではない母親ですと、この非課税枠が使えません。

受け取った保険金全額が課税対象となってしまいます。

しかも、相続人以外の場合、相続ではなく、遺贈したものとみなされ、相続税額は2割加算されることになります。

受取人が相続人なら非課税枠が使える上に2割加算もなかったのですが、相続人以外なら全額課税される上に2割加算に。

他の相続財産次第では相続税がかかってしまうこともあります。

実家の名義は長男だったので、母親は住んでいるものの「無権利者」です。

父親(夫)死亡。実家の名義を長男にした時点では母親に「配偶者居住権」が成立する余地がありますが、今回は配偶者居住権の場面ではありません。

なので、実家を相続した長男の嫁から生命保険の件で根に持たれ、追い出されても文句は言えません。

次男も相続人ではないので、長男の嫁の行動に対しては、同じく文句は言えません。

(1)生命保険金の受取人の変更

結婚した時点で生命保険金の受取人を配偶者にすることを忘れずに。

今回の事例では関係ありませんが、離婚した時点で受取人を配偶者から子供などに変更することも忘れずに。

(2)実家の名義を母親にしておく。

二次相続対策も大事ですが、そこだけを重要視すると今回のようなことにもなりかねません。

生命保険金の件がなかったとしても、普段から母親と長男の嫁の仲が悪ければ、同じことが起こり得ます。

長男が先に亡くなることも想定して二次相続対策を。

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