孤独死の賠償責任を問うのは難しい
1、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
「国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、
「原状回復」とは、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、 善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義してます。
では、「孤独死」の場合「賃借人の故意・過失」といえるか?、ですが、通常は「いえない」でしょう。
じゃあ、孤独死することにより「事故物件」となりました。
その事故物件になったことが「損害」であり、損害賠償を請求できるのでは、とも考えられます。
しかし、この場合も「賃借人の故意・過失がない」から出発するので損害賠償を請求することはできません。
損害賠償を請求できるとしたら、長期間にわたり人知れず放置されたことなどにより、室内外に臭気・害虫等が発生、特殊清掃などが必要になったなど、極度に酷い状況が加わった場合となります。
※参考:「国土交通省HP「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
2、現実的な対応
上のように、たとえ裁判で争ったとしても損害賠償責任を問うことが難しい以上、「現実的な対応」を考える必要があります。
(1)孤独死保険
「孤独死保険」とは、孤独死現場の原状回復が必要になった大家さんの金銭的損失を補償する保険です。
孤独死保険には、
①家主さんが保険料を支払い加入する家主型
②入居者側が加入する入居者型
の2つがあります。
(2)見守り契約
「見守り契約」とは任意後見が始まるまでの間に、支援する方が定期的に本人と電話連絡。
併せて、本人の自宅を訪問して面談することにより、支援する方が、本人の健康状態、生活状況等を確認することによって、任意後見をスタートさせるかどうか判断するための契約です。
必ずしも「任意後見」とセットである必要はありません。
孤独死対策のために、家主さんが高齢者などに住居を賃貸する際、「見守り契約の締結」を条件にすることも方法の一つです。
最近では警備会社が携わる「見守り契約」があります。
契約開始前にトイレやお風呂場など、居住者が1日1回使う場所にセンサー付きの機械を設置。丸1日反応がないと警備員が駆け付けるサービスです。
孤独死してから丸1日で発見となりますので、特殊清掃の実施など、原状回復に手間と費用がかかるのを防ぐことができます。
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