筆界特定制度

「筆界」とは、明治後期に施行された不動産登記法によって、人為的に区画された「公法」上の土地の境界です。

筆界は「合筆(隣接する複数の土地を一筆にまとめる)」「分筆(一筆の土地を複数に分割する)」しない限り変更されることはなく、土地を所有する当事者同士の話し合いで変更することもできません。

「所有権界」とは、「私法」上の境界として所有権の範囲を決める境界です。筆界とは異なり、当事者同士の合意があれば変更できます。

この「筆界」「所有権界」は、本来であれば一致するのが当たり前ではありますが、なんらかの事情によって境界にズレが生じてしまう、筆界が不明瞭になってしまうことがあります。

筆界特定制度とは、筆界の専門的な知識を持つ筆界調査委員が、申請のあった土地を調査して意見書を提出した上で、正しいと認識できる筆界を特定する制度のことです。

裁判所で行われる境界確定訴訟と異なり、法務局で行われる手続きであることが筆界特定制度の特徴です。

この筆界特定制度はあくまでも「公法上の境界を特定する」ことを目的としています。

「私法上の境界」である所有権界を特定するためには利用できません。

(1)境界確定訴訟よりも筆界の特定が早い、負担が少ない

裁判所が筆界を調査、判断する境界確定訴訟と異なり、筆界特定制度は筆界の専門家が当該土地の筆界を調査し、法務局の筆界特定登記官が判断します。

法務局の方が筆界に関する調査・資料の収集能力に優れることから、筆界特定制度の方が迅速に筆界を特定できるというメリットがあります。

(2)隣人と揉めにくい

筆界特定制度の場合、公的な機関が申請人・関係人の利害に関係なく公正な判断を下しますので、申請人・関係人双方の納得を得られやすい

「所有権界」を決めるものではない、も後押しします。

(1)特定された筆界が双方の認識と異なり「境界確定訴訟」に発展する事も

(2)測量を含む費用は申請人が負担する

(1)筆界特定の申請

(2)筆界特定登記官による審査

(3)筆界調査委員による調査、測量

(4)筆界特定登記官による意見聴取

(5)筆界調査委員による意見の提出

(6)筆界特定の通知、広告

筆界特定制度の申請を代行できるのは、

①土地家屋調査士

②弁護士

③認定司法書士

(民事訴訟手続・民事調停手続・即決和解手続などを代行できると認定された司法書士)

です。

ただし、認定司法書士が代行できるのは訴額が140万円までの案件のみです。

事前の測量まで依頼することを考慮するなら土地家屋調査士に依頼するのが望ましいでしょう。

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投稿者プロフィール

山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」
山梨県甲府市にある「あきやま行政書士事務所」行政書士
◎主な業務内容:
相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、民泊、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行

山梨県甲府市の行政書士です。
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