相続関係説明図、法定相続情報一覧図
1、相続関係説明図
相続関係説明図とは、亡くなった人の相続人を全て調査、図式化したものを言います。
◎記載される内容
(1)亡くなった方の情報
①氏名
②生年月日
③死亡年月日
④最後の住所
⑤最後の本籍地
(2)相続人の情報
①氏名
②生年月日
③亡くなった方との続柄
④住所
◎作成の目的
相続登記の際に戸籍等の原本の還付を受けるためです。
相続関係説明図と戸籍謄本等をセットで法務局に提出することで、後に戸籍等の原本を返してもらう事ができます。
相続手続きは相続登記だけではなく、預金の名義変更や相続税の申告など多岐にわたります。
その多くで戸籍謄本等の提出を求められますが、相続登記時に原本を返してもらったほうが他に流用でき、金銭的な負担が少なくて済む利点があります。
2、法定相続情報一覧図
法定相続情報一覧図は、平成29年5月29日にスタート「法定相続情報証明制度」によって作成する書面です。
一覧図を作成した上で、もととなる戸籍謄本等とセットで法務局に提出すると、登記官の署名入りの証明書として無料で何枚でも発行してくれます。
3、両者の違い
(1)法務局のお墨付きがあるかどうか
「法定相続情報一覧図」は、自分で作成したものを法務局に提出し、法務局が「これで相続関係は間違いありません」とお墨付きを与えてくれるものです。
このお墨付きによって、各種相続手続きをする際に法定相続情報一覧図の写しを提出すればよく、戸籍謄本等一式の提出は不要となります。
他方、「相続関係説明図」は単に自分で「相続関係はこうですよ」と書き記したもので、誰かがその正しさについて証明してくれる訳ではありません。
従って、各種相続手続きの際には、戸籍謄本等の一式を併せて提出する必要があります。
(2)戸籍に記載されていない情報を載せられるかどうか
「法定相続情報一覧図」は、戸籍から読み取れる情報を公的な書類として証明するものなので、戸籍に記載されている情報のみ載せることになります。
従って、例えば相続人の中に相続放棄をした人や相続欠格の人がいる場合、これらの情報は戸籍には記載されないものなので、法定相続情報一覧図にその事実を載せることはできません。
また、推定相続人の廃除が行われた場合、戸籍に廃除された旨の記載がされるますが、相続人でないことが戸籍から分かるので、法定相続情報一覧図にその相続人の情報を載せることが出来ないです。
他方、「相続関係説明図」は記載内容に特段の決まり事はなく、相続関係が把握できればOKです。
従って、戸籍に載っていない相続放棄や欠格などといった情報を載せることも可能です。
なお、数次相続の場合、相続関係説明図であればすべての相続関係を1枚でまとめて記載することができますが、法定相続情報一覧図は1相続につき1枚の法定相続情報一覧図を作成することになるので、2つの一覧図を作ることが必要になります。
※参考:法務局HP
※参考:法務局HP(図式)
4、法定相続情報一覧図:必要書類
①被相続人(亡くなられた方)の戸除籍謄本
②被相続人(亡くなられた方)の住民票の除票
③相続人全員の戸籍謄抄本
④申出人(相続人の代表となって、手続を進める方)の氏名・住所を確認することができる公的書類(マイナンバー、運転免許証等)
⑤(法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合)
各相続人の住民票記載事項証明書(住民票の写し)
⑥
(委任による代理人が申出の手続をする場合)
⑥-1 委任状
⑥-2(親族が代理する場合)申出人と代理人が親族関係にあることが分かる戸籍謄本(①又は③の書類で親族関係が分かる場合は、必要ありません。)
⑥-3(資格者代理人が代理する場合)資格者代理人団体所定の身分証明書の写し等
⑦戸籍の附票
↓
法定相続情報一覧図の作成
↓
申出書の記入、登記所へ申出
参考:法務局HP
5、必ずしも「法定相続情報一覧図」を作らなくて良い事例も
相続関係説明図と法定相続情報一覧図の最も大きな違いは「相続手続きの際に戸籍謄本の束の提出を省略できるかどうか」です。
しかし、必ず法定相続情報一覧図を作ったほうが良いのかというと、そうとは限りません。
相続関係がシンプルで相続財産も限られている場合は、逆に法定相続情報一覧図を作ることで手間がかかってしまうからです。
◎事例:
父死亡(母は既に他界)
相続人は長男のみ。相続財産は預金500万円のみ
この事例ですと、主な相続手続きは預金の名義変更程度ですし、必要となる戸籍謄本等もとてもシンプルなので、法定相続情報一覧図を作るために法務局で手続きしたり、認証を受けるま1~2週間待つことのほうが、手間がかかる。
こういう時は、法定相続情報一覧図を作らないほうがスムーズに手続きが進むのです。
投稿者プロフィール
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◎主な業務内容:
相続、終活、墓じまい、遺言書作成、遺言執行、後見、家族信託、ペット法務、民泊、古物商許可、空き家問題、相続土地国庫帰属制度の法務局への相談、申請書作成代行
山梨県甲府市の行政書士です。
高齢化社会を元気に生きる社会に。
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